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【米国】巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんの治療薬リンヴォック、FDAより承認を取得

米アッヴィ社は4月29日、リンヴォック(ウパダシチニブ)15mg、1日1回投与について、巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表しました。先頃、欧州委員会より巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんの治療薬として取得したリンヴォックの製造販売承認に続く承認となります。

巨細胞性動脈炎(指定難病41、GCA)は側頭動脈炎としても知られ、欧米諸国の成人で最もよくみられる血管炎の一種です。この疾患は、側頭動脈などの頭部の動脈、大動脈、ほかの中型・大型の動脈などに炎症を引き起こす自己免疫疾患とされています。治療が行われないと、消耗性のある症状のほか、失明、大動脈瘤、脳卒中などを引き起こす可能性があります。巨細胞性動脈炎(GCA)は一般的に50歳以上で発症し、特に70歳から80歳の白人女性で最も多くみられると報告されています。男性よりも女性の方が発症する可能性が高い一方で、研究によれば眼症状が生じる可能性は男性の方が高いことが示されています。

今回のFDAによる承認は、第III相ピボタルSELECT-GCA試験の結果に基づいたものです。この試験では、主要評価項目である寛解維持が達成されました。具体的には、投与12週時から投与52週時までの期間に寛解維持を達成した患者さんの割合は、リンヴォック15mgと26週間のステロイド漸減投与を併用した患者さん群で46.4%であったのに対し、プラセボと52週間のステロイド漸減投与を併用した患者さん群では29.0%であり、統計学的に有意な差が認められました(p=0.002)。

この試験における寛解維持は、投与12週時から投与52週時までの期間にGCAの徴候および症状がなく、治験実施計画書に規定されたコルチコステロイド漸減投与計画を遵守していることと定義されました。また、52週間のプラセボ対照期間において、リンヴォックの安全性プロファイルは、既に承認されている他の適応症で認められたものとおおむね一致していました。

アッヴィ社のexecutive vice president,research&development兼chief scientific officerであるRoopal Thakkar氏はプレスリリースにて、「今回のFDAによる承認は、GCA の患者さんに、ステロイドを徐々に減らし、寛解維持を達成する可能性をもたらす治療選択肢を提供するものです。リンヴォックの新たな適応症追加は、免疫介在性疾患を有する患者さんのアンメットニーズを特定し、それに応えていくという私たちの取組みの姿勢を示すものです」と述べています。

また、米国ペンシルベニア大学リウマチ科(University of Pennsylvania,Rheumatology)の主任であり、SELECT-GCA試験の治験責任医師である Peter A.Merkel氏は、「GCAでは依然としてグルココルチコイドが治療の主軸となっていますが、薬剤に関連する毒性が多くみられます。また、GCAの患者さんにおいては、再発することが少なくありません。今回の承認により、GCAの新たな治療選択肢がもたらされました。この臨床試験の結果は、ウパダシチニブにより患者さんが寛解維持を達成できる可能性があることを示すものです」と述べています。

出典
アッヴィ合同会社 プレスリリース

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