1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 周産期の胆道閉鎖症の肝門部の病態を解明、胆囊壁の異常が総肝管を介して肝内胆管へ波及

周産期の胆道閉鎖症の肝門部の病態を解明、胆囊壁の異常が総肝管を介して肝内胆管へ波及

東京大学の研究グループは6月13日、胆囊壁の異常が総肝管を介して肝内胆管へ波及するという周産期における肝門部の胆管炎の病態を解明したと発表しました。

胆道閉鎖症(指定難病296)は、生まれてすぐの乳児に発症する原因不明の肝外胆管の硬化性胆管炎を主徴とする難治性の胆汁うっ滞性疾患です。肝門部の胆管の閉塞・破壊により閉塞性黄疸と肝障害を引き起こし、外科治療なしで放置した場合は、2~3年以内に肝硬変により死に至ります。治療には、早期に胆囊を含めた肝門部の肝外胆管を切除し、葛西手術(肝門部腸吻合によるバイパス手術)を実施しますが、術後、半数以上の患者さんでは生体肝移植も必要となる場合があります。

乳児の胆道閉鎖症の1/3の症例では、SOX17陽性の胆囊上皮細胞の機能低下が認められており、周産期の胆囊自体の異常が、一部の胆道閉鎖症の原因となっていることが強く示唆されています。しかし、これまで、周産期の胆囊の異常が肝障害を引き起こす原因は明らかになっていませんでした。

今回、研究グループは、新規の子宮内胎子の順向性の胆道造影法を用いて、Sox17ヘテロ変異マウスの胆囊壁の低形成による胆汁うっ滞部位の可視化と胆汁の流れを定量的に解析しました。その結果、Sox17+/-胎子において肝病変が重篤な個体ほど、胆汁流量が有意に低下し、肝辺縁部で胆汁の停滞が認められました。野生型では、肝内の左右の肝管は、肝門部で一本の総肝管に合流した後、胆囊-胆囊管と総胆管へと連結します。しかし、Sox17+/-胎子の肝門部では、総肝管は消失し、胆道閉鎖症に類似した複数の細い肝管に細分岐化されることを見出しました。

さらに、肝内胆管をGFP標識(GFP+)したSox17+/-胎子を用いて解析を行った結果、細分岐化した肝管壁には、GFP+肝内胆管が相補的に移動し、肝実質の境界部では、GFP+肝内胆管が肝外まで引き出されていること(肝内胆管ヘルニア)が判明しました。

肝小葉の内部の肝内胆管ネットワークは、肝臓辺縁部では管腔を持つ肝内胆管は減少し、さらに、肝内胆管周囲は線維化の指標であるマッソントリクローム染色が陽性となり、Sox17+/-マウス胎子では、肝細胞から産出した胆汁が肝内胆管の未成熟なため胆汁が排出できず、胆汁うっ滞と初期の肝線維化が起こっていることが明らかになりました。胆道閉鎖症のレトロスペクティブ(後ろ向き)解析を行った結果、葛西手術の時点での胆囊幅(胆囊壁の低形成の指標)と肝障害レベルが強い相関を示したことから、周産期の本病の発症過程において胆囊壁の破綻が肝内胆管の胆汁鬱滞と直接的に関与している可能性が示唆されました。

以上の研究成果より、周産期の肝門部の胆道系は形態形成の途中であり、胆囊から肝管、肝内胆管まで連続した管腔壁は、胆汁分泌開始後はお互いに強く連結しテンションがかかりながら、肝門部の胆道の形態形成が進行中だと想定されます。胆囊上皮の低形成が、直接、肝門部の総肝管を破壊、総肝管を細分岐化し、さらに先の肝内胆管を肝外へと引き出し、小葉内の肝内胆管の管腔形成まで異常が波及することが明らかになりました。今回の研究成果が、胆道閉鎖症の新規の早期診断、治療法の開発に繋がり、道閉鎖症に苦しむ多くの子供たちの希望になることが期待されます。

画像はリリースより

出典
東京大学 プレスリリース

関連記事