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iPS細胞由来アストロサイトの表現型解析法を開発、アストロサイト関連疾患の病態解明と治療法開発に期待

理化学研究所は4月26日、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)からアストロサイトへ分化誘導する方法の改良と、ハイスループットスクリーニングに適合するiPS細胞由来アストロサイトの表現型解析法の開発に成功したと発表しました。

中枢神経は、神経細胞とグリア細胞で構成されています。神経細胞を補佐する役割を果たしているグリア細胞の一種であるアストロサイトは、グリア細胞の中でも最も多く存在する細胞種で、サイトカイン分泌、神経成熟、脳内代謝恒常性の維持などさまざまな役割を担っており、脳内環境を維持しています。

アストロサイト異常は、脳卒中、神経炎症性疾患、神経変性疾患、神経系の発達に関わる疾患の原因となるため、これらの疾患の新たな治療法を開発するためには、アストロサイトの多様な特性を評価することが必要です。

これまで、国内外の研究グループが、ヒトiPS細胞からアストロサイトを分化誘導する方法を開発してきましたが、均質なアストロサイトの細胞集団の高純度作製には課題があり、また、安定的かつ多検体処理に適合するスケールで行えるアストロサイトの機能評価系がないため、ヒトiPS細胞から作製したアストロサイトのハイスループットスクリーニングへの適用は困難で、治療法開発への応用は限定的でした。

今回、研究グループは、理研バイオリソース研究センター(BRC)に寄託されたヒトiPS細胞から改良した分化誘導法を用いて、均質なアストロサイト集団を作製しました。このアストロサイト集団をハイスループットスクリーニングに適合する多検体処理が可能な培養プレートに播種し、ストロサイトのマーカーであるGFAPやS100βタンパク質を発現していることを確認しました。

次に、脳の恒常性維持を担うアストロサイトの機能の評価として、刺激応答性カルシウムシグナルを用いた興奮性評価および飢餓やストレスに対するオートファジー応答評価をハイスループットで行うことのできる実験系を構築しました。

これらの機能は、アストロサイト病態を引き起こすアレキサンダー病(指定難病131)患者さん由来iPS細胞を含む複数のiPS細胞株でも評価が可能であることが確認できました。このことから、今回開発した機能表現型解析法が疾患iPS細胞にも適用可能であり、病態表現型の探索に用いることができるとわかりました。

今回の研究で、ヒトiPS細胞由来アストロサイトと解析プラットフォームを開発したことにより、疾患モデルと病態解明研究および治療法開発に繋がることが期待されるといいます。

なお、同研究の成果は、科学雑誌「Journal of Cellular and Molecular Medicine」オンライン版に3月20日付で掲載されました。

出典
理化学研究所 プレスリリース

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