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網羅的遺伝子解析にて未診断の遺伝性腎疾患が潜在していることを発見、透析患者減少へ期待

東京医科歯科大学は2月15日、医療法人眞仁会との共同研究により、20歳から49歳の間に慢性腎臓病の進行により透析療法や腎移植術を受け、その原因となる腎疾患が明らかでない患者さんを対象に網羅的遺伝子解析を行い、10%以上の患者さんに未診断の遺伝性腎疾患が潜在していることを明らかにしたと発表しました。

慢性腎臓病は、腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下するか、タンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態の疾患で、成人の7人に1人を占める新たな国民病と言われています。現在、日本国内で透析療法を受けている患者さんは約35万人います。成人の腎臓病の多くは糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因と言われていますが、約10%の患者さんは慢性腎臓病の原因が明らかになっていませんでした。

近年、海外では、成人の慢性腎臓病の患者さんにおいても、生まれつきの遺伝子の変異によって起きる遺伝性腎疾患が未診断のまま潜在していることが報告されました。しかし、これまで日本国内においては、成人の慢性腎臓病患者さんや原因となる腎疾患が明確でないまま腎代替療法を要する状態になった患者さんを対象に網羅的遺伝子解析を実施した報告はありませんでした。

今回、研究グループは、20歳から49歳の間に腎代替療法を開始し、慢性腎臓病の原因となる腎疾患が明らかでない患者さん90名を対象として、298個の遺伝性腎疾患の原因遺伝子を網羅的に解析しました。

その結果、10名の患者さんは遺伝性腎疾患が遺伝学的に診断されました。さらに、これらの患者さんは透析導入時に正確な臨床診断はされていませんでした。遺伝子解析で明らかになった疾患の中には、ファブリー病やアルポート症候群など、早期診断および早期治療において慢性腎臓病の進行を抑えられる疾患も含まれていました。

画像はリリースより

今回の研究は、慢性腎臓病を対象とした網羅的遺伝子解析として、また、原因が不明な慢性腎臓病透析患者さんの遺伝子解析研究としては日本で初めてのものであり、日本における成人の慢性腎臓病の患者さんの中に多くの遺伝性腎疾患が診断されないまま潜在していることを明らかにしました。また、成人の慢性腎臓病の患者さんは、遺伝性腎疾患の臨床診断が難しいことが示唆されており、これを解決するために遺伝性腎疾患の網羅的遺伝子解析が有効であることも示されました。

遺伝子解析によって腎不全進行を抑制することはできませんが、早期治療で慢性腎臓病の進行を抑えられる疾患も含まれていたことを考えると、遺伝子解析の併用により正確な診断と適切な治療を可能にし、透析患者さんの減少につながる可能性を示しました。

なお、2023年に、日本人特有の慢性腎臓病を対象とした新しい網羅的遺伝子解析システムの特許申請をおこないました。この慢性腎臓病の網羅的遺伝子解析システムの実用化により、慢性腎臓病患者さんに潜在する遺伝性腎疾患の正確な診断と適切な治療につなげることが期待できるといいます。

出典
東京医科歯科大学 プレスリリース

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