【米国】好酸球性食道炎に対する初めてかつ唯一の経口治療薬EOHILIAがFDAより承認を取得
武田薬品工業株式会社は2月13日、11歳以上の好酸球性食道炎(EoE)患者さんを対象とした初めてかつ唯一の経口治療薬EOHILIA(一般名:ブデソニド経口懸濁液)について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を、2024年2月12日付で取得したと発表しました。
好酸球性食道炎(EoE)は、白血球の一種である好酸球が、食道の粘膜に集まることで炎症が起こる慢性の炎症性疾患です。好酸球性食道炎(EoE)の慢性炎症は、個人差や年齢によって異なりますが、嚥下障害や嘔吐、疼痛などさまざまな間欠的症状を伴います。現在、好酸球性食道炎(EoE)の正確な原因は明らかになっていませんが、特定の食物や環境アレルゲンを含む様々な刺激によって引き起こされると考えられています。好酸球性食道炎(EoE)の特定は難しく、診断の遅延がよく見られますが、未治療のまま経過した場合、好酸球性食道炎の炎症が悪化し、食道が狭窄して食物の嵌頓(かんとん:食物が食道で詰まった場合)を引き起こす可能性があります。
EOHILIAは、好酸球性食道炎(EoE)に特化して開発された新規のブデソニド製剤で、11歳以上の好酸球性食道炎(EoE)患者さんへの12週間の投与を適応とするコルチコステロイド薬です。振ることで流動性が高まり、飲み込むと粘度の高い状態に戻るという揺変性を有します。
今回の承認は、好酸球性食道炎(EoE)患者さんを対象とし、EOHILIAの有効性と安全性をプラセボと比較した2つの多施設共同試験(試験1と試験2)の結果に基づくものです。
12週後の組織学的寛解および患者さんの報告による嚥下障害症状質問票(DSQ)の総スコアのベースラインからの変化量を有効性評価項目とし、DSQにより好酸球性食道炎(EoE)患者さんによって直接報告された、嚥下障害の頻度とその後に使用する行動適応を評価しました。
試験1では、プラセボ群と比較してEOHILIA群は、有意に多くの患者さんが組織学的寛解(評価可能なすべての食道部位において強拡大視野あたりのピーク好酸球数が6個以下)を達成しました。また、試験2では、EOHILIA群の38%が組織学的寛解を達成しました。ベースラインからの嚥下障害症状質問票DSQ総スコアの変化量は、試験1ではEOHILIA群vs.プラセボ群で-10.2(1.5)vs.-6.5(1.8)、試験2では-14.5(1.8)vs.-5.9(2.1)でした。
各試験の最後の2週間においてプラセボ群と比較して、EOHILIA群ではDSQによる評価で嚥下障害を経験しなかったか、「良くなった/自然に治った」嚥下障害しか経験しなかった患者さんが多くみられました。
なお、好酸球性食道炎(EoE)の治療において、EOHILIAの12週間を超える投与の安全性および有効性は確認されていません。
武田薬品工業株式会社のシニアヴァイスプレジデントであり、米国消化器系疾患ビジネスユニットのヘッドであるBrandon Monk氏は「大多数の人にとって、食べることは単純な経験です。しかし、好酸球性食道炎の患者さんにとって、座って食事を取ることはつらいことであり、嚥下障害、胸痛、つかえ感などを伴うことがあります。EOHILIAにより、2つの12週の臨床試験において食道の炎症を低減し、嚥下能力を改善することが示された、FDAが承認したEoEに対する初めてかつ唯一の経口治療選択肢を、患者さんとその担当医は手にすることができます」と述べています。