ループス腎炎を適応症として経口免疫抑制剤ボクロスポリン、国内製造販売承認を申請
大塚製薬株式会社は11月10日、経口免疫抑制剤「ボクロスポリン(一般名)」について、「ループス腎炎」の適応で、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表しました。
ループス腎炎は、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)によって引き起こされる高度なタンパク尿を伴う糸球体腎炎で、全身性エリテマトーデス(SLE)の最も深刻な合併症の1つとされています。現在の標準治療は、副腎皮質ステロイドを用いた治療ですが、ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制剤を併用する場合があります。全身性エリテマトーデス(SLE)は、比較的若年層に発症します。ループス腎炎の合併により、患者さんの予後の悪化に繋がる末期腎不全へのリスクを高めていると考えられています。タンパク尿を伴う糸球体腎炎の速やかな寛解達成と、その後の副腎皮質ステロイドの減量が課題となっています。
ボクロスポリンは、ループス腎炎を対象に開発された新規の経口免疫抑制剤です。本剤は、T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用およびポドサイト(糸球体上皮細胞)の保護効果を発揮すると考えられています。
大塚製薬株式会社はプレスリリースにて「大塚製薬は、最重点領域の一つとして、循環器・腎領域におけるポートフォリオ強化に取り組んでいます。今後とも、未だ十分満たされていない領域の研究開発を進め、世界の人々に貢献してまいります」と述べています。
なお、米国においては、2022年1月にオーリニア社が米国食品医薬品局(FDA)より、成人の活動性ループス腎炎の適応で製造販売承認を取得しています。 大塚製薬は、2020年12月に日本と欧州における独占的開発販売権をオーリニア社から取得するライセンス契約を締結し、2022年9月に欧州医薬品庁(EMA)より本剤の販売承認を得ています。