血友病Aに対する新規バイスペシフィック抗体NXT007の非臨床研究の成果が科学誌に掲載
中外製薬株式会社は11月7日、中外製薬が創製し現在、血友病Aを対象に第I/II相臨床試験を実施中のNXT007の非臨床研究の成果が、 血栓止血学のジャーナルである Journal of Thrombosis and Haemostasis電子版に掲載されたと発表しました。
血友病Aは、出血を止めるための役割を持つ血液凝固因子のうち第VIII因子が不足または欠乏している疾患です。患者さんの多くは、幼少期から出血症状があり、頭蓋内、関節内、筋肉内など、からだの深部で出血が多く現れます。
NXT007は、血友病でない方と同等の⾎液凝固能と簡便な投与を⽬指して中外製薬が独自の抗体エンジニアリング技術を適用したバイスペシフィック抗体です。活性型第IX因子と第X因子に結合し、活性型第IX因子による第X因子の活性化反応を促進することで、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替するよう設計されています。
今回の研究では、血液凝固第VIII因子活性の増強を目指し、血友病A治療薬ヘムライブラのアミノ酸配列を基に分子エンジニアリングを行い、新たなバイスペシフィック抗体であるNXT007を創製したこと、in vitroにおいてNXT007は、血友病Aの方の血漿中で血液凝固第VIII因子100IU/dLに相当するトロンビン生成活性を示したこと、in vivoにおいて、NXT007による用量依存的な止血活性が示されたこと、in vivoにおいて、NXT007の良好なPKプロファイルが確認されたことの4点が示されました。
以上の非臨床研究の成果より、NXT007によって血友病Aの患者さんも血友病ではない方と同等の血液凝固能を維持できるポテンシャルが示唆されました。
なお、現在、血友病Aの患者さんを対象にNXT007の第I/II相臨床試験が実施されています。