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脊柱後縦靭帯骨化症の発症に関わるゲノム上の新しい疾患感受性領域を同定

理科科学研究所は7月18日、日本人を対象にした大規模なゲノムワイド相関解析(GWAS)を行い、脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)の発症に関わるゲノム上の新しい疾患感受性領域(遺伝子座)を同定したと発表しました。

脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)は、脊柱管の内部で、椎体(背骨)の後ろに存在する後縦靱帯が骨に変化し、脊髄や神経を圧迫して、手足のしびれや痛み、運動障害などを引き起こす原因不明の難病です。重度の症状を有する患者さんには、神経の圧迫を取り除く手術が行われますが、根本的な治療法はなく、予防法すら確立されていません。脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)の発症には、遺伝要因の関与、肥満や 2 型糖尿病など他の疾患との関連が以前より注目されています。

今回、研究グループは、脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)の治療につながる新しい疾患感受性領域を発見すること、遺伝統計学的な切り口から 脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL) の治療法、予防法につながる新しい知見を得ることを目的として、脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)としては世界最大規模の2010人の患者さんのGWASメタ解析を行いました。

その結果、14の個の疾患感受性領域を発見し、うち8個は新しい領域でした。今後、脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)発症との関連が明らかになったゲノム領域に存在する遺伝子を介した発症メカニズムを解明することで、脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)の新しい治療法開発への期待ができます。

また、今回の研究では、高BMI(肥満)と高骨密度は脊柱後縦靭帯骨化症(OPLL)に因果関係があることが示されました。今後、この因果関係を標的とした治療法や予防法の開発が期待できます。

画像はリリースより
画像はリリースより

なお、同研究は、北海道大学、静岡県立総合病院、静岡県立大学などとの共同研究であり、成果は、科学雑誌「eLife」オンライン版に、7月18日付で掲載されました。

出典
理科科学研究所 プレスリリース

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