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自己免疫性膵炎の病原性細菌を「シウリ菌」と世界で初めて同定

近畿大学は9月1日、自己免疫性膵炎の発症メカニズムに腸管バリアの機能低下が関与していることを明らかにし、同疾患の病原性細菌が腸内細菌のシウリ菌であることを世界で初めて同定したと発表しました。この成果は、同大医学部内科学教室の渡邉智裕特命教授と、近畿大学大学院医学研究科医学系消化器病態制御学専攻博士課程4年の吉川智恵氏を中心とする研究チームによるもので、学術誌「International Immunology」オンライン版に9月1日付で掲載されました。

自己免疫性膵炎は高齢男性に多く、免疫反応の異常により膵臓が腫れる疾患です。膵臓以外に唾液腺、肺、腎臓などの多臓器で発症します。近年では、IgG4関連疾患に対する医師の認識が高まり、患者数も推定約1万人を超えていますが、この疾患がどのようなメカニズムが原因で発症するか解明されていません。現在は、ステロイドによる免疫抑制療法が行われていますが、ステロイドには様々な副作用があるため、自己免疫性膵炎のメカニズムの解明と新たな治療法の開発が期待されています。

今回の研究では、自己免疫性膵炎は腸管バリア機能が低下する高齢の男性が発症する場合が多い点に注目。腸管バリア機能を人工的に破綻させたマウスに自己免疫性膵炎を誘導し、腸管バリアと自己免疫性膵炎の関係を調べました。

画像はリリースより

その結果、腸管バリアの機能低下によって、ブドウ球菌の一種であるシウリ菌が膵臓へ移行し、重度の自己免疫性膵炎を引き起こすことが判明。自己免疫性膵炎の病原性細菌がシウリ菌であることを世界で初めて突き止めました。

今回の研究結果により、自己免疫性膵炎の発症メカニズムの一端が回目されたことで今後、健全な腸内環境の維持による予防や新たな治療法の開発が期待されます。

出典
近畿大学 プレスリリース

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