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ALSの発症に関与するSOD1が毒性を獲得する新たな分子機構を解明

東北大学は7月21日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関与すると考えられているタンパク質「SOD1」が毒性を獲得する新たな分子機構を明らかにしたと発表しました。

この成果は、同大大学院薬学研究科の中林孝和教授、田原進也助教、山﨑公介氏(大学院修士課程在学中)ら研究グループによるもので、科学誌「Scientific Reports」に7月11日付で掲載されました。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に衰え、話しにくい、食べ物が飲み込みにくいなどの症状が現れる疾患です。ALS患者さんは日本全国に約1万人いると言われています。その発症原因は不明であり、治療法の開発が進んでいないため、早急な発症原因の解明や治療薬の開発が求められています。

これまでに、銅イオンと亜鉛イオンが結合する金属タンパク質であり、過酸化水素と酸素分子に変換する抗酸化酵素の一種であるSOD1の遺伝子変異が、遺伝性ALSの患者さん内で同定され、SOD1とALSの発症について数多くの報告がなされてきました。

画像はリリースより

そこで研究グループは、今回オリゴマーの毒性は酸化作用に由来するという仮説を立て、オリゴマーの毒性を酸化作用の観点から検討。その結果、本来は抗酸化作用を示すSOD1が、分子内にある硫黄原子間の結合(ジスルフィド結合)が切れるのみで、抗酸化作用から酸化作用に変化することが示唆されました。また、ジスルフィド結合の切断によって凝集物前駆体(オリゴマー)が生成することや、凝集物よりもオリゴマーの方が、酸化作用が強いことが示されたといいます。

研究グループはプレスリリースにて、「分子内ジスルフィド結合をターゲットとした治療・予防薬の開発へと繋がることが期待されます。さらに私達はSOD1の分子内ジスルフィド結合をトリスルフィド(—S—S—S—)などに変換し、SOD1の酵素活性変化を調べています」と今後の展望を述べています。

出典
東北大学 プレスリリース

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