再発性多発軟骨炎の再発に関わるリスク因子を同定
京都大学は6月6日、再発性多発軟骨炎の症例解析により、疾患の再発に関わるリスク因子を同定したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学博士課程学生の吉田常恭医師、医学部附属病院の白柏魅怜特定病院助教、医学研究科の吉藤元講師らの研究グループによるもの。科学雑誌「Arthritis Research & Therapy」に5月30日付で掲載されています。
再発性多発軟骨炎は、軟骨に炎症が繰り返し起こることで、軟骨を含む臓器の不可逆的な障害を引き起こす難治性の疾患。2020年度の厚生労働省による登録患者数は、日本全国でも840人と少なく、世界的にもまれな疾患です。
今回、京都大学の研究チームは、日本人の再発性多発軟骨炎患者さん34名の症例を収集し、詳細な後ろ向きの患者研究を実施。その研究結果により、気管気管支病変を持つ患者さん、治療開始前の血液検査でCRPという数値で表される炎症反応が強い患者さん、プレドニゾロンなどのステロイドを単剤で使用している患者さんにおいて、再発のリスクが高いことが明らかになりました。
また、初期治療の段階でステロイドのみを使用して治療を行っている患者さんと、ステロイドと免疫抑制薬を併用して治療を行っている患者さんを比較すると、臓器の障害に関わらず、ステロイドと免疫抑制薬を併用している患者さんの方が、再発リスクが低いことも判明したといいます。
この研究結果により、再発のリスク因子を治療前の早期に発見することで、適切な治療を行うことができ、臓器障害の予防につながることが期待されます。研究グループは、リリースにて、「本研究の成果を踏まえ、今後より多くの症例を蓄積したり、前向きの患者研究を行ったりすることによって、再発性多発軟骨炎の病態解明と、再発リスクに沿った治療指針の作成にさらに貢献することが期待されます」と述べています。