治療薬ケシンプタ皮下注20mgペン、自己投与が可能に
ノバルティス ファーマ株式会社は5月31日、多発性硬化症(MS)に対するB細胞を標的とした治療薬「ケシンプタ(R)皮下注20mgペン」(一般名:オファツムマブ、以下ケシンプタ)が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤となり、 在宅自己投与が6月1日より保険適用になると発表しました。
多発性硬化症は、20~30代で発症することが多く、中枢神経(脳・脊髄)の軸索を覆っているミエリンが破壊され、脱髄が起きることで、視力障害、運動障害、感覚障害、言語障害など多様な症状があらわれる神経難病です。治療を行わないと、不可逆的な身体障害や認知機能障害を来す可能性があり、日常生活を送ることが困難になるため、適切な治療の継続が必要です。
ケシンプタは、B細胞を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体で、主にリンパ節のB細胞の表面に存在するCD20に結合することによりB細胞の融解を誘発します。多発性硬化症の発症に関わるB細胞が血液中から減少することで、免疫系の異常が緩和され、中枢神経のミエリンの破壊が抑えられることが期待できるため、多発性硬化症の患者さんの日常生活を維持することが可能といいます。
また、同剤は、在宅でも自己投与が可能なペン型デバイスで、初期投与期間である導入期を経た4週目以降は、4週間隔の皮下投与を行います。今回の保険適用により、自己投与が可能だと判断された患者さんには、患者さんあるいはご家族など、実際に投与を行う人へ十分な説明とトレーニングを受けた上で、ケシンプタの自己投与が可能となります。
ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるレオ・リー氏は、プレスリリースにて、「患者さんご自身やサポートされるご家族が、在宅で数分程度で治療ができるようになることで、通院に伴う負担が軽減され、日常が少しでも過ごしやすくなることを願います。『ケシンプタ』を通じて、MS患者さんの健康とQOLの改善に貢献できるよう、これからも取り組んでいきたいと考えています」と述べています。