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生薬「青黛」による炎症性腸疾患の治療機序を解明

慶應義塾大学は5月18日、潰瘍性大腸炎(UC)患者さんにおける炎症抑制に有効とされる生薬「青黛(せいたい)」が、炎症抑制性免疫細胞を大腸上皮直下に誘導することを実証したと発表しました。

この研究成果は、同大医学部内科学教室(消化器)の金井隆典教授、同内視鏡センターの筋野智久専任講師、同医学部の吉松裕介特任助教らの研究グループと、愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻分子病態医学講座の今村健志教授らの共同研究によるもの。国際総合学術誌「Cell Reports」に5月10日付で掲載されています。

原因不明の慢性炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎は、指定難病に登録されており、治療が難しい疾患です。同教室を中心に実施した多施設共同研究では、青黛が潰瘍性大腸炎に有効であることが実証されているといい、青黛の成分が腸管上皮の再生に関与している可能性が報告されていました。

今回の研究では、マウスおよび潰瘍性大腸炎患者さんにおいて、大腸の上皮を介してこれまでにない特徴的な遺伝子を発現する「Treg」が青黛によって上皮直下に誘導される現象が示されたそうです。

画像はリリースより

この成果について研究グループはプレスリリースにて、「本研究が発展し、このTregが上皮を修復する機序の解明に至れば、これまでの潰瘍性大腸炎治療の主体である免疫を抑制する治療とは一線を画した新規治療法につながる可能性があると考えられます」と述べています。

一方、青黛については、どの成分がこのような作用を起こしているかは不明瞭であり、長期服用によって重篤な副作用が報告されていることから「今後、青黛によるTregを介した上皮組織修復促進メカニズムを解明し、同メカニズム内の因子について解析することができれば青黛治療におけるバイオマーカーを見出せる可能性もあり、また、作用成分を同定することができれば、自己の体内でTregを炎症部位に誘導し炎症を沈める治療が可能となります」と今後の展望を述べています。

出典
慶應義塾大学 プレスリリース

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