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123I-MIBG心筋シンチグラフィがパーキンソン病・レビー小体型認知症の診断に特異的な検査と証明

東京都健康長寿医療センターは4月19日、123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィの取り込み低下がパーキンソン病ならびにレビー小体型認知症の診断に特異的な検査であることを、ブレインバンク登録例を用いた実証研究により明らかにしたと発表しました。

パーキンソン病とレビー小体型認知症は、神経伝達に関与するαシヌクレイン蛋白質が異常な代謝を受け蓄積した、レビー小体が出現するという特徴があります。また、レビー小体は脳だけでなく、心臓を含む全身に出現することが明らかになっており、心臓交感神経の脱落を伴います。

東京都健康長寿医療センターによるこれまでの研究結果から、レビー小体は高齢者の約1/3に出現することが示されており、パーキンソン病は65歳以上の50人に1人程度にみられます。

123I-MIBG心筋シンチグラフィは、心臓の交感神経に取り込まれ、交感神経機能を可視化するもの。パーキンソン病やレビー小体型認知症では、123I-MIBG心筋シンチグラフィの心臓での取り込みが低下するため、その診断に用いられてきました。しかし、診断された方の最終確定診断(剖検)による確認は行われておらず、欧米ではその有用性の承認はなされていますが、実際にはほとんど使用されていないそうです。

今回の研究では、2006年から2021年までの16年間の、東京都健康長寿医療センターの高齢者ブレインバンク登録連続開頭剖検例のうち、生前に123I-MIBG心筋シンチグラフィを撮像していた56人を対象に、123I-MIBG心筋シンチグラフィの結果と病理学的検索結果との対比を行いました。

123I-MIBG心筋シンチグラフィでの心縦隔比の値は、心臓における残存交感神経面積/神経束面積と強い相関(相関係数:早期相0.75, 後期相0.81)を示し、現在広く用いられている標準的なカットオフ値での心縦隔比の値は、高い特異度を示しました(早期相:感度70.0%, 特異度96.2%; 後期相: 感度80.0%, 特異度92.3%)。心縦隔比後期相は、カットオフ値を標準値より下げることで、感度を保ちながら特異度を100%に高めうることが示唆されといいます。

画像はリリースより

これらの結果から、 123I-MIBG心筋シンチグラフィの検査結果は心臓の交感神経の残存量をよく反映すること、 心臓での取り込み低下があればレビー小体病の存在が強く疑われることが明らかになりました。つまり、カットオフを的確に設定することで、心臓での取り込みが低下することは、パーキンソン病やレビー小体型認知症の確定診断指標となり得ることを証明したとしています。

研究グループはプレスリリースにて、「現在健康長寿医療センターでは認知症未来プロジェクトが進行中であり、臨床・病理画像のAI診断法の確立とあわせて、今後大きな社会貢献が期待できる成果です」と述べています。なお、研究成果は、科学誌「Neurology」に4月19日付で掲載されています。

出典
日本医療研究開発機構(AMED) プレスリリース

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