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封入体筋炎に対する新規治療薬候補を同定

東北大学の研究グループは、封入体筋炎(指定難病 15)患者由来の筋細胞を解析し、ミトコンドリアの機能異常がその一因であることを解明しました。また、東北大学で開発を続けているミトコンドリア病治療薬候補「MA-5」が封入体筋炎に対しても新規の治療法になり得ることが示唆されました。

封入体筋炎は大腿部や手指の筋肉が萎縮し筋力が低下する難病であり、特に50歳以上で発症します。高齢化に伴う筋力の低下や筋萎縮の原因のひとつにミトコンドリアの機能異常が報告されており、また、封入体筋炎患者でもミトコンドリアの機能異常がみられることが知られています。封入体筋炎は診断までに長期間を要し、さらに現在まで有効な治療法も開発されていません。

Mitochonic acid5(MA-5)は2015年にインドール化合物より開発された新薬であり、東北大学においてミトコンドリア病の治療薬候補として開発が進められています。MA-5はアデノシン三リン酸(ATP)の産生効率を高めることが知られており、ミトコンドリア病患者の細胞生存率を上昇させる効果が報告されています。本研究により、封入体筋炎患者の筋肉由来細胞においてミトコンドリアの品質維持に働く遺伝子の発現が低下しており、実際にミトコンドリアの機能も低下していることが明らかになったことから、MA-5投与を細胞に投与し観察しました。その結果、細胞内の低下していたATPが上昇し、さらにミトコンドリアの細胞保護作用がみられました。

出典元
東北大学 プレスリリース

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