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腸管の免疫に重要な抗菌タンパク質を発見

名古屋大学の研究グループはマウスの小腸組織を用いてα1,2-フコースで修飾された抗菌タンパク質を新たに発見したと発表しました。α1,2-フコースによる修飾は腸内細菌との共生や病原菌排除に重要であることがわかっており、炎症性腸疾患をはじめとする難病・難治性疾患の新規治療法に繋がると期待されています。

体内でみられる分子に繋がっている糖鎖と、それを認識する操作認識分子との相互作用は生物の発生や体内の情報伝達に重要な役割をもつことが知られています。N-アセチルラクトサミンのα1,2-フコースによる修飾は、腸内細菌との共生や病原菌の排除に関与していることは知られていますが、その詳細なメカニズムは明らかになっていません。そこで本研究では、マウスを用いた大規模な転写産物解析によってα1,2-フコシル化糖タンパク質の同定を目指しました。

レクチンプロットを行った結果、α1,2-フコシル化された15kDaの新しい糖タンパク質が検出されました。小腸の可溶化産物を解析したところ、3,212種類のO-結合型糖ペプチドと 2,962種類のN-結合型糖ペプチドが同定され、そのうち15kDaのタンパク質cryptdinrelated sequence 1(CRS1)が高発現しておりα1,2-フコースで修飾されていました。この研究結果より、腸管の免疫に機能を持つ新規の抗菌タンパク質の存在が示唆されました。さらなる研究により、腸内細菌との共生メカニズムや難治性の腸疾患に対する病態の解明に繋がると期待されています。

出典元
名古屋大学 プレスリリース

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