1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. アルナイラム、急性肝性ポルフィリン症に対する治療薬としてギボシランナトリウムを日本で承認申請

アルナイラム、急性肝性ポルフィリン症に対する治療薬としてギボシランナトリウムを日本で承認申請

Alnylam Japan 株式会社は2020年9月29日、急性肝性ポルフィリン症(AHP)に対し、RNA干渉(RNAi)治療薬であるギボシランナトリウムの日本における製造販売承認申請を行いました。

ヘモグロビンの構成要素としても知られるヘムは、鉄を含む化学物質です。ヘムは骨髄や肝臓で作られますが、その過程でポルフィリンという物質になります。その後の生合成に関わる酵素の働きが弱い、あるいは全く無いとポルフィリンが体内に蓄積されていき血液中にも過剰に含まれるようになります。ヘムの合成酵素に関わる酵素のうち、どの酵素が欠損しているかによって蓄積される物質が異なり、症状も多岐にわたります。急性肝性ポルフィリン症(AHP)は特に労働や出産年齢の女性に多く見られます。重度の腹痛に伴う悪心、嘔吐、四肢痛などに加え、不安や錯乱などの精神症状が症状としてあらわれ、麻痺や呼吸困難から死に至る危険性もあります。症状が多岐にわたるために検査や診断も困難で、世界的に見ると確定診断まで15年を要する例もあります。

今回の承認申請はAHPと診断された患者さんを対象として行われた、ギボシランナトリウム(ギボシラン)の有効性と安全性を評価した臨床試験の良好な結果に基づいています。日本を含む世界18カ国のAHP患者が参加しました。ギボシランはAHPのアミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的としたRNAi治療薬です。ALAS1のmRNAを特異的に低下させることでAHPの症状発現に繋がる毒性を低下させます。この臨床試験に参加した患者は、入院や緊急訪問診療などで定義される発作の発生率がプラセボ投与群と比較して低下していました。RNAiはRNA干渉とも呼ばれ、遺伝子発現を抑制する細胞内に備わった機能です。RNAiを人工的に引き起こすことで疾患の治療に繋げようとする技術が期待されており、最先端の領域の一つです。

出典元
Alnylam Japan 株式会社  プレスリリース

関連記事