あの高熱の日々を越えて、今は研究に夢中|U.Mさん:成人発症スチル病(AOSD)

就職をきっかけに体調を崩し、原因不明の高熱と闘う日々が始まったU.Mさん。39度を超える発熱が続き、入院生活の末に診断されたのは「成人発症スチル病(AOSD)」でした。不安と混乱の中でも、周囲に支えられながら前を向いて歩んできたU.Mさんの経験は、同じように病気と向き合う人の心をそっと軽くしてくれます。
これまでの経緯
- 2022年4月 就職をきっかけに扁桃炎を頻繁に発症
- 2022年10月 成人発症スチル病(AOSD)と診断
病気の詳細
成人発症スチル病(AOSD)は、自己免疫の異常によって起こると考えられている病気です。
主な症状としては、39度前後の高熱が続くこと、関節の痛み、喉の痛み、発疹、血液検査での炎症反応の異常などがあります。
ただし、症状の出方には個人差が大きく、風邪や感染症と間違われやすいため、診断までに時間がかかることも少なくありません。
原因がはっきりしていないこともあり、患者本人にとっては「なぜこんなにつらいのか分からない」という不安が大きくなりやすい病気でもあります。
病気での生活の具体例
私の場合、最初は新卒で就職したばかりだったので、「忙しいから体調を崩しているだけ」「新卒だから仕方ない」と自分に言い聞かせていました。
でも実際は、扁桃炎を何度も繰り返し、熱が出て、喉が痛くて、咳も止まらなくなっていきました。
最終的には吐血までしてしまい、さすがにこれはおかしいと思って病院に行こうと決意しました。
内科では、コロナではないけれど、普通の風邪でもないと言われ、抗生物質を出されました。
ただ、私は抗生物質があまり効かず、症状は改善しませんでした。
その後、耳鼻咽喉科を受診すると「かなりつらそうだから点滴をしましょう」と言われ、点滴を受けたことで一度は楽になりました。
しかし、それも束の間で、すぐに再発し、熱は39.5度まで上がりました。
ちょうどその頃、会社の都合で試験勉強も重なっていて、身体的にも精神的にも限界が来ていたと思います。
大学病院を紹介され、血液検査を受けた段階では、「このしんどさと、これからも付き合っていくのかもしれない」という気持ちで、正直かなり疲れ切っていました。
検査結果を聞いたとき、先生から「だいぶ良くない状態です」と言われた瞬間は、頭が真っ白になりました。
自宅療養か入院かを選ぶ必要がありましたが、当時は会社の寮に住んでいて、しっかり休める環境がなかったため、入院を選びました。
入院生活と診断までの道のり
満身創痍の状態で入院の手続きをして、荷物を準備しているとき、人生で初めて「これはタクシーを使おう」と思いました。
今思えば、それくらい余裕がなかったんだと思います。
入院してからも熱はなかなか下がらず、解熱剤を使っても38度までしか下がりませんでした。
逆に38度まで下がると「今日は調子がいい」「これなら仕事できそう」と感じてしまうくらい、感覚が麻痺していました。
一か月ほど経って、ようやく38度を下回る日が増えてきました。
その間、血液検査と経過観察を続け、最終的に成人発症スチル病(AOSD)と判断されました。
白血球の値もかなり高く、炎症が強い状態だったそうです。
実は、関節痛がそれほど強くなく、足のかかとの痛みや手首の鈍い痛みが中心だったため、典型的な症状と少し違い、診断に時間がかかった経緯もありました。
入院中は、熱の影響で大量に汗をかき、一日に5リットルくらい水を飲んでいました。
年末年始を病院で迎えることになり、なんとも言えない気持ちでしたが、「生きること」と向き合う時間でもありました。
回復までの日々と気持ちの変化
薬の影響で味覚がおかしくなり、病院食しか食べられない生活が続いていましたが、熱が下がるにつれて少しずつご飯がおいしいと感じられるようになりました。
年始には、体調もかなり改善し、退院することができました。
退院後は、一か月ほどしっかり休養し、解熱剤や抗生物質を使いながら、徐々に体調を整えていきました。
薬を少しずつ減らしていく中で、「あ、今日は楽だな」と感じる日が増えていき、ようやく元の生活に戻れる感覚が出てきました。
退院後の反動で、アマゾンで炭酸飲料の缶を2箱、合計48缶を一か月で飲んでしまったのは、今では笑い話です。
健康面は特に問題ありませんでした。
仕事の様子
現在は、研究職として働いています。
体調と相談しながらではありますが、仕事に楽しく没頭できる日々を送っています。
以前のように、「気合でなんとかする」「我慢する」という考え方ではなく、無理をしないこと、自分の状態をきちんと伝えることを大切にするようになりました。
そのおかげで、仕事にも前向きに向き合えるようになったと感じています。
今後の目標
病気になって強く思ったのは、「頼れるものは頼っていい」ということです。
気合や根性で耐えてしまう人も多い世の中ですが、本当にしんどいときは、周りや制度、環境に頼ることが大切だと思います。
病気を通して、周囲の優しさにたくさん気付くことができました。
自己免疫疾患は、症状だけでなくメンタルにも大きな影響があります。
調べすぎて気持ちが落ち込むくらいなら、あえて全く違うことで休養を取るのも大切だと思います。
前向きに生きて、楽しいことを見つける。
それが、これからの私の目標です。
同じように悩んでいる人に、少しでも「一人じゃない」と伝えられたらうれしいです。
