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希望を繋ぐRDD JAPANでの活動|和久井さん:アイザックス症候群(IS)

足がつる。最初はそんな些細な異変から始まりました。彼女が「アイザックス症候群(IS)」と診断されるまでには、長い時間と多くの試行錯誤がありました。そんな中で、自分の病気と向き合いながら患者会を立ち上げ、今では難病支援団体RDD JAPANの一員として活躍しています。この記事では、彼女の病歴から現在の活動、そして未来への思いをたっぷりとご紹介します。

これまでの経緯

  • 2000年 足がつる症状がで始める。
  • 2002年 症状悪化。
  • 2004年 検査入院開始。
  • 2007年 アイザックス症候群(IS)と確定診断。
  • 2010年 りんごの会を発足。RDD JAPANに参画。

病歴の概要

20代後半に足のつりが頻発するようになりました。

最初は運動不足かと思い、激しい運動をした結果、逆に肉離れを起こしてしまいました。

その後も症状は悪化を続け、2002年には日常生活にも支障が出るほどに。

2004年、ついに検査入院を開始。

足に針を刺されるような強い痛みがあり、イライラが募る日々でした。

当初は北海道に住んでおり、さまざまな病院で診察を受けましたが、なかなか診断がつかず。

そんな中、鹿児島の病院でアイザックス症候群(IS)の検査が可能と知り、検体を送付した結果、弱陽性と言われました。

あまりに曖昧な結果に結局北海道の医師では意見が割れ、結論が出ませんでした。

そこで、セカンドオピニオンを求めて直接鹿児島を訪れました。

そこで、初対面の医師と握手を交わした瞬間、「あ、アイザックスだね」と医師から言われました。

手の汗の具合からある程度わかるそうで、その後針筋電図の検査で診断が確定。

2007年、31歳のときでした。

アイザックス症候群(IS)とは

アイザックス症候群(IS)は、末梢神経が過剰に興奮し、筋肉が常に収縮してしまうというまれな神経疾患です。

正式には、「末梢神経過興奮症候群」とも呼ばれます。

症状としては、筋肉のぴくつき(筋線維束性収縮)、強いこむら返り、針で刺されるような痛み、寝汗、手足の発汗異常などがあります。

原因は自己免疫疾患であることが多く、自分の免疫が神経を攻撃してしまうため、神経が常に興奮状態になってしまいます。

診断が難しく、誤診されやすいのも特徴の一つです。

日常生活への影響と工夫

私の日常生活は、筋肉のつりやこわばりとの戦いです。

年に2回、ステロイドパルス療法を受け、筋肉の痙攣を抑えるためにてんかん薬も服用しています。

また、4,5年に一度は血漿交換療法も行っています。

生活の中で大変なのは、やはり「普通に見える」ことです。

外見からはわからない痛みや不調を抱えているため、周囲に理解してもらうのが難しい場面も多くあります。

北海道時代には、「うそをついているんじゃないか」「病気じゃない」と言われたこともありました。

でも鹿児島で診断が確定したとき、「見返してやった!」という晴れ晴れした気持ちもありましたし、同時にやっぱり病気なんだ、とショックを受けました。

仕事と患者会「りんごの会」

病名が確定してから、「私のように困っている人と繋がりたい」と思い、2010年に患者会「りんごの会」を立ち上げました。

名前の由来は、アイザックス症候群(IS)のアイザックから取っています。

アイザック・ニュートン→りんごという連想から。

あとは、「一日一個のりんごは医者を遠ざける」、ということわざも兼ねています。

りんごの会:https://ringonokaiisaacs.wixsite.com/rinogo-no-kai

ちょうどその頃、指定難病を増やすための活動が盛んになっていた時期でもあり、私たちも署名活動や啓発活動に参加しました。

仲間が少しずつ集まり、みんなで「指定難病にしよう」という目標を持って活動していました。

そして、10年来の知人だったRDD JAPANの方に声をかけられ、「よければうちで働かない?」と言われたのが、今の仕事のきっかけです。

最初はお手伝いで、宛名書きや報告書のまとめといった業務からスタートし、今ではSNSでの発信や、地域担当として今年は80以上の地域の主催者様と連絡を取り、Webページの作成まで担当しています。

RDD JAPAN :https://rddjapan.info/
Rare Disease Day (世界希少・難治性疾患の日) の日本代表運営組織。

働き方と日々の取り組み

RDD Japan 事務局では、私の体調に配慮した働き方をさせてもらっています。

でも、ついつい頑張りすぎてしまう性格なので、2025年の目標は「ゆとりを持った働き方」です。

RDD( Rare Disease Day:世界希少・難治性疾患の日)が2月末のため、1〜2月は全国各地でのRDDイベント準備で毎年てんてこまいです。

イベントの開催報告のまとめが主な仕事で、 5月くらいまでイベントが続くこともあります。

そこで一段落と思いきや、もう来年度の企画会議が始まるので、実はRDD Japan 事務局は一年中忙しくさせて頂いてます。

それでも、チームの皆さんに支えてもらいながら、「丁寧に、もれなく」をモットーに仕事に取り組んでいます。

これからの目標

この数年、ずっと疾患の支援活動に伴走してきましたが、ふと「自分自身と向き合う時間も必要かな」と思うようになりました。

でも、いろんな人と出会えたことで得られた刺激は何よりの財産です。

病気の人が減れば、私の仕事も減る。

それでもいい、それが理想の形だと今は思っています。

今後は、RDDの存在をもっと多くの人に知ってもらい、病気を閉ざされたものではなく、誰もが知り、受け入れられる社会を作っていきたいです。

もしこの記事を読んで興味を持っていただけたなら、ぜひ一度RDDのイベントに足を運んでみてください。

病気のあるなしに関係なく、すべての人が主役になれる場所を、私たちは応援し続けます。

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