「自分を信じて前へ進む」 えりさん:重症筋無力症(MG)
えりさんは、24歳の時に重症筋無力症(指定難病11、MG)と診断されました。22歳の時、お風呂場で突然倒れ、右半身が動かなくなったことがきっかけです。それから数年間、様々な診断を受けながらも、彼女は前を向き続け、現在は職場復帰を果たし、将来の目標に向かって歩みを進めています。今回のインタビューでは、えりさんの病気との向き合い方や、日々の生活についてお話を伺いました。
これまでの経緯
- 2021年 22歳 お風呂場で倒れて半身不随になる
- 2022年 24歳 重症筋無力症(MG)と診断される
- 2024年 25歳 職場復帰
重症筋無力症(MG)とは?
重症筋無力症(MG)は、自己免疫疾患の一つで、筋肉が正常に動かなくなる病気です。
この病気では、免疫システムが筋肉と神経の接続部分を攻撃し、筋肉の収縮が難しくなることで、動きが鈍くなったり、力が入らなくなったりします。
特に全身型の重症筋無力症(MG)では、目や口の周りだけでなく、手足や呼吸にも影響が出ることがあります。
きっかけは突然の体調不良から
私の体調の変化は、幼い頃から少しずつ始まっていました。
中学2年生の時には、学校に通うのが難しいほど体が弱くなり、寝たきりの生活を送っていました。
その後、高校は通信制に通うことになりましたが、18歳の頃には非常に疲れやすくなっており、ひどい時は一日15時間も眠り続けてしまうことがありました。
重症筋無力症(MG)と診断されるまでの長い道のり
その後、さらに詳しい検査を受けたところ、大学病院では腓骨神経麻痺や橈骨神経麻痺と診断されましたが、私はどうしても納得できませんでした。
また、自律神経の不調もあり、失神や痙攣を繰り返していたので、何か根本的な原因があるのではないかと感じたのです。
そこで、自分で病気について徹底的に調べ始めました。
その時に見つけたのが、重症筋無力症(MG)という病気でした。
調べれば調べるほど、自分の症状と一致していることに気付き、再度大学病院で診療を受けたのですが、その病院からは、なんと「もう来ないでくれ」とまで言われてしまいました。
その後も納得がいかず、NPO法人の患者会に連絡を取り、ようやく東京の慶應大学病院で診断を受けることができました。
ここで重症筋無力症(MG)と診断され、ついに原因が明らかになったのです。
IVIG(免疫グロブリン療法)などの治療法も試しましたが、効果が見られず、最終的には血漿交換が唯一の有効な治療法となりました。
私は手首にシャント手術※を受け、これでようやく症状が落ち着くようになりました。
※シャント手術:動脈と静脈をつなぐシャントという通路を作成し、血液の流れをスムーズにして大量の血液を効率的に処理できるようにします。
重症筋無力症(MG)と共に生きる日々
現在、私は介護系事務のお仕事に復帰しています。
入院時や雨の日はリモートワークをしています。
重症筋無力症(MG)は全身の筋力が低下しやすい病気なので、体力の管理がとても大切です。
特に仕事の日は、自分の体調をしっかりと確認しながら、無理をしないように心掛けています。
また、外出時には車椅子を使用しています。
最初はこれに少し抵抗がありましたが、今では気にせずに使っています。
気軽に外出できるようになり、体調に合わせて自分を優先することができるようになりました。
病気を抱えていると、どうしても「周りに迷惑をかけているのでは」と罪悪感を感じてしまうことがありますが、今はそんな感情にとらわれず、自分を大切にすることを学びました。
家では、3匹の犬たちと一緒に過ごしています。
彼らと過ごす時間は、私にとって最高の癒しです。
彼らの存在が、私の生活に幸せを運んできてくれています。
仕事とこれからの目標
現在は、介護系事務の仕事に復帰していますが、元々、訪問介護会社で働いていたこともあり、この仕事にやりがいを感じています。
しかし、体調と相談しながら働くことが必要なので、無理のない範囲で続けています。
今後の目標は、30歳までに自分の家を建てることです。
賃貸では、なかなか犬や車椅子に対応した物件が見つからないので、いつか自分の理想の家を持ちたいと考えています。
また、経済的にも安定した生活を送りたいので、今後は新しいスキルを身に付けて、さらに安定した仕事を見つけていきたいと思っています。
同じ病気に悩む人たちへ
重症筋無力症(MG)と診断されるまでの道のりは、決して簡単なものではありませんでした。
しかし、今振り返ると、その経験が私を強くしてくれたと感じています。
私は、自分の経験を通じて、同じように病気と戦っている人たちに少しでも力になれればと思っています。
病気と向き合うことは辛いこともありますが、諦めずに自分を大切にすることが大事です。
今後も自分の体調を見ながら、無理なく働き、犬たちと一緒に幸せな生活を送りたいと思っています。
そして、いつか皆さんの病気のロールモデルとなれるよう、自分の経験を生かしていけたらと願っています。