心にゆとりのある生活を。長谷川梢さん|気管軟化症(EDAC)
今回は長谷川梢さんにお話を伺いました。長谷川さんは幼少の頃から喘息の症状に悩まされていましたが、大人になってからの検査で、喘息に加え、気管軟化症(EDAC)と診断をされました。現在はご自身の体調に合わせた働き方を求めて転職活動中です。
これまでの経緯
- 出生時 未熟児で誕生
- 小・中学生の頃 喘息はあるものの普通の学校生活
- 高・大学生の頃 喘息症状の悪化を感じるようになる
- 20代中頃 気管軟化症(EDAC)と診断
子どもの頃
初めまして長谷川梢です。私は、未熟児で産まれたこともあって、子どもの頃から肺が弱く、喘息の症状がありました。
小学校、中学校くらいまでは、みんなと同じように普通に学校に通っていました。
天気が悪いと体調を崩しやすく、お休みすることは多かったのですが、基本的には他の子どもと変わらず過ごしていたので、「ちょっと身体の弱い子」ぐらいな感じでした。
しかし、中学3年生くらいからガクッと呼吸の状態が悪くなってしまいました。
それでも、高校、大学と普通の学校に進学しました。
ただ、欠席することは多かったです。
中学までは学校をお休みしても家で勉強をしていました。しかし、高校になると勉強も難しくなりますし、厳しかったですね。そもそも体調が悪くて休んでいるので。
大学生になってからも、体調は高校生のときと変わりはなかったのですが、毎日登校しないといけないわけではなかったので、生活は少し楽でした。
気管支鏡検査
子どもの頃は、成長して体力がついてきたら体調は良くなると言われていました。
しかし、実際は、大きくなるにつれて日常生活が大変になっていきました。
詳しい検査をしてもいいかもしれないという話が出ていましたが、必要になる気管支鏡という検査は、結構辛い検査だと医師に言われていました。
医師が疑っている病気がいくつかあったようです。
しかし、そのいずれにしても治療法がない病気でした。
病名が分かったところで、対処法が変わらないということもあり、無理して辛い検査をすることはない。そういう理由で、先送りにしていました。
ただ、喘息以外にも病気がある可能性が高かったので、大人になってから検査をしようという判断でした。
実際に検査をしたのは20代になってからです。
気管支鏡検査を受けました。すると、気管が潰れていることが分かりました。呼吸をするたびに気管がへこんでしまっていました。
気管軟化症(EDAC)という診断がされました。気道が何らかの原因で脆弱なため、呼気時に気道内腔を保持できず、気道閉塞が起こってしまう病気です。
診断後
結局、治療法が今のところない病気です。
手術という選択肢もあることはあるのですが、リスクが高くて、あまりお勧めされませんでした。現状のままで仕方ないのではないかということです。
ただ、確定診断が出たことで、呼吸器などを使えるようになりました。
また、喘息が悪化したときに使用するステロイドの使用量を減らせるようになりましたね。
それまでは、発作時などに、症状の改善がないときはステロイドの量を増やしていたのですが、いま考えると過剰投与のときもあったのだと思います。
気管軟化症と、元々持っている喘息は症状の区別がつかないのです。
でも、確定診断後は、呼吸がしにくくなったとき、ステロイドを使って楽になれば喘息が原因だし、効かなかったら気管が原因だろうから、これ以上ステロイドはやめて呼吸器を使う、というような判断ができるようになったのです。
現在の状態としては、座って普通に話したりするのは問題ないのですが、入浴などの動作時は在宅酸素(HOT)、寝るときや体調が本当に悪いときは人工呼吸器(NPPV)を使っています。
在宅酸素は、まだ使い始めたばかりなので、どういう時に使うといいのか、手探りで考えながらやっているところですが、外出時に持って行くようにすれば、活動範囲が広がるのではないかと思っています。
現在の課題
呼吸器が使えるようになったことや薬の進歩で、呼吸は楽になったのですが、昔と比べると筋力や体力自体が落ちていることが、今の課題ですね。
また、薬などが効いて喘息の症状が抑えられても、気管軟化症は常にある程度の症状が出ていると考えられるので、全てが良くなることはないんです。
だから、体調変化への対応をどうするかの判断は今でも難しいんですよね。
あと、風邪に弱かったり、冷たい空気も苦手なので、どうしても冬は安静期間になってしまいます。
以前はアルバイトに行ったりしていましたが、長期で続けるのは難しいと感じています。
今後に向けて
今は、通勤の負担がない在宅勤務ができる仕事を求めて就職活動をしています。
スキルアップのためのオンラインスクールの課程も修了しました。
まずは近い目標として、フルリモートの仕事をできるようになりたいです。
そして、夢というか、先の目標としては、「心にゆとりがある人」でいたいです。
日々の生活を心にゆとりのある状態で過ごしたいんです。そのためのひとつの選択肢が就職だと思っています。
病気がある分、知らない間にいっぱいいっぱいになりやすいと思うので、心のゆとりを無くさないように意識したいです。