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ウェルナー症候群Werner’s syndrome

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ウェルナー症候群

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早老症ウェルナー症候群の全国調査と症例登録システム構築によるエビデンスの創生2020・11・05

クローリングニュース

病気・治療解説

概要

ウェルナー(Werner)症候群は、1904年にドイツの医師オットー・ウェルナー(Otto Werner)により初めて報告された稀な遺伝病です。この病気は、思春期を過ぎる頃より急速に老化が進んでいくようにみえることから、「早く老いる」病気=早老症のひとつといわれています。20歳代から白髪、脱毛、両目の白内障がおき、手足の筋肉や皮膚もやせて固くなり、実年齢より「老けて見える」ことが多くなります。糖尿病や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)も多く、かつては多くの患者さんが40歳代で悪性腫瘍や心筋 梗塞 などにより亡くなっていました。今では治療法の進歩により寿命が延びて50~60歳代の方もいらっしゃいます。その一方で足先や肘などの深いキズがいつまでも治らず(難治性皮膚潰瘍)、感染を繰り返して足を切断してしまうなど、なお多くの患者さんが大変な日常生活の苦労を強いられています。

罹患数

いくつかの研究により、日本のウェルナー症候群の患者数は約2,000名、病気になる確率はおよそ5~6万人に一人と推定されています。

疫学

地域的には、世界中で報告されている患者さんのうち約6割が日本人であり、我が国に多いと考えられています。また以前は、主に血縁が濃くなる近親婚(いとこ婚やはとこ婚)の多い地域で報告されてきましたが、最近では近親婚によらない発病者も増加しています。日頃の食べ物や運動などの生活習慣は、発病とは関係ないと考えられています。

原因

WRNと呼ばれる遺伝子の異常が原因と考えられています。私たちのからだの設計図であるDNA*1が傷ついた時に修理する役割を担っているのがWRN(DNAヘリカーゼともいう)です。しかし、WRNの異常によりなぜ老化が早く進むようになるのかはまだ分かっていません。

遺伝

ヒトは両親からもらった遺伝子を一対(2つ)ずつ持っています。ウェルナー症候群は2つのWRN遺伝子の両方に異常がある時だけ発病します。患者さんの両親はそれぞれひとつだけ原因遺伝子を持ち、ご自身は発病していないケースがほとんどです。患者さんの兄弟姉妹では確率的に約4人に1人が発病しますが、患者さんのお子さんや、さらにそのお子さんが同じように発病する確率は計算上200~400人に1人以下であり、結論として可能性は非常に少ないです。

症状

20歳代以降に白髪・脱毛などの毛髪の変化や、白内障(両目の場合が多い)、かん高くかすれた声などの症状がおきてきます。また腕や脚の筋肉がやせ、皮膚も固く薄くなり、深いキズができて治りにくくなります(難治性皮膚潰瘍)。身長は低いことが多く、レントゲンではしばしばアキレス腱や皮下の石灰化(カルシウム成分が溜まること)が見つかります。また糖尿病や脂質異常症になる方が多く、性ホルモンの働きが落ちてくる更年期なども早い年齢から起こりやすくなります。

治療法

ウェルナー症候群にはまだ根本的に治す方法がなく、白髪や脱毛、皮膚の変化など「見た目の老化」にも治療や予防方法がありません。足のキズは治りにくく、日常生活に大きな支障をきたしますので、靴ずれを起こさない、などの予防が重要です。できてしまった場合には、洗浄や消毒・保護・保湿などの対症療法が中心になりますが、自分のからだの他の場所から皮膚を移植する手術が有効な場合もあります。一方、悪性腫瘍や白内障、糖尿病や脂質異常症などは、一般患者さんと同じ様に手術や投薬などが有効であり、早期発見と治療が重要です。

経過

かつては、悪性腫瘍(がん)もしくは心筋梗塞など動脈硬化の病気によって、多くの患者さんが40歳代半ばで亡くなると言われていました。しかし、最近の研究によると平均寿命が10年以上延び、今では60歳代の患者さんも増えています。一方で、患者さんの多くがかかとや足、肘などに治りにくいキズ(難治性皮膚潰瘍)を患い、痛みや感染が続いて足を切断せざるを得ない状況にも至るなど、日常生活に支障を来すようになっていくことが大きな問題です。

患者さんに知って欲しいこと

まず、治りにくい深いキズ(難治性皮膚潰瘍)ができないように、日頃からアキレス腱やかかと、足、肘など潰瘍になりやすい部位をなるべく保護し観察することです。薄く固くなった皮膚は骨に圧迫されてキズができ、やがて深い潰瘍を生じやすいため、当たって痛い箇所やキズになりかけたところは特殊な靴(装具)を作って保護する方法もあります。また定期通院により悪性腫瘍の発症をチェックしたり、糖尿病や脂質異常症などの代謝異常を治療・管理して動脈硬化が早く進むのを防いだりすることも大切です。
※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。