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にょうそさいくるいじょうしょう
尿素サイクル異常症urea cycle disorder

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尿素サイクル異常症を対象としたフェニル酪酸ナトリウムの薬物動態試験2018・07・18

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病気・治療解説

概要

尿素サイクルは主に肝臓において、生体内で発生する有毒なアンモニア(NH3)を無毒な尿素に変えていく経路です。尿素サイクル異常症は尿素合成経路の代謝系に先天的な異常があり、高アンモニア血症の症状などで発症する一群の疾患です。嘔吐、哺乳力低下、多呼吸、痙攣、意識障害、行動異常、発達障害などがみられ、時には命にかかわるような 重篤 な状態になることもあります。Nアセチルグルタミン酸合成 酵素 (NAGS)欠損症、カルバミルリン酸合成酵素(CPS1)欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、古典型シトルリン血症、アルギニノコハク酸尿症、アルギニン血症、高オルニチン高アンモニア血症ホモシトルリン尿症症候群(HHH症候群)が含まれます。尿素サイクルの構成物質、酵素を図示しました。

罹患数

尿素サイクル異常症の発症頻度は1:8,000~44,000人と考えられています。わが国における頻度としては、カルバミルリン酸合成酵素欠損症:80万人に1人、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症:8万人に1人、シトルリン血症I型:53万人に1人、アルギニノコハク酸尿症:7万人に1人14)、アルギニン血症:220万人に1人との報告があります。 長期生存が難しい例も多く、現在日本にいる患者さんはOTC欠損症約500人、CPSI欠損症約100人、アルギニノコハク酸尿症約100人その他の尿素サイクル異常症はそれぞれ100人未満と考えられています。

疫学

遺伝の病気ですので、ご家族に尿素サイクル異常症の患者さんがおられる場合は、尿素サイクル異常症の確率は高くなります。食生活や日常生活が原因になることはありません。

原因

尿素サイクルは主に肝臓において、生体内で発生する有毒なアンモニアを無毒な尿素に変えていく経路です。尿素サイクル異常症は尿素合成経路の代謝系に遺伝的な異常があり、尿素サイクルが働くなることにより高アンモニア血症の症状などで発症します。図の①-⑦にあてはめますとNアセチルグルタミン酸合成酵素欠損症(⑥の異常)、カルバミルリン酸合成酵素欠損症(①の異常)、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(②の異常)、古典型シトルリン血症(③の異常)、アルギニノコハク酸尿症(④の異常)、アルギニン血症(⑤の異常)、高オルニチン高アンモニア血症ホモシトルリン尿症候群(⑦の異常)となります。

遺伝

遺伝します。遺伝形式はNアセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、カルバミルリン酸合成酵素欠損症、古典型シトルリン血症、アルギニノコハク酸尿症、アルギニン血症は 常染色体劣性遺伝 で、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症はX連鎖性遺伝です。常染色体劣性遺伝では、ご両親は 保因者 で、その子供は4分の1の確率で患者さんになります。保因者の方は、症状もなく全く問題がなく、治療も必要ありません。オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症はX連鎖性準優性遺伝ともいわれ、男性に症状が強く、女性は一般に男性より軽症で、無症状の保因者であったり、発症が遅いことが多いのですが、一旦発症すると重篤な場合も少なくありません。突然 変異 による発症も少なからずみられます。

症状

何となく元気がない、哺乳力低下、多呼吸、嘔気、嘔吐、意識障害、痙攣など 非特異的 な症状がほとんどです。乳幼児期の突然死の報告もあります。高アンモニア血症が持続したり、繰り返すと中枢神経障害を生じ、発達障害、行動異常、精神障害を引き起こします。アルギニノコハク酸尿症では髪の毛のねじれが、アルギニン血症やHHH症候群では小児期から進行する両側麻痺はよくみられる症状です。

治療法

食事療法と薬物・アミノ酸療法が基本です。急性期には点滴、中心静脈栄養、 血液透析 を行うこともあります。食事療法はタンパク質の量を制限しますが、栄養障害を起こさないように適切にします。薬物としてはアンモニアを体外に排泄させる薬として安息香酸ナトリウム( 未承認 薬)とフェニル酪酸ナトリウムがあります。アミノ酸療法はアルギニンとシトルリン(未承認薬)があり、尿素サイクル異常症の中で、アルギニンとシトルリンが不足する疾患に対して使用します。コントロール不良な例に対しては肝移植を行うこともあります。

経過

尿素サイクル異常症患者の 予後 は、以前に比べて大きく改善しています。しかし、新生児期発症のOTC欠損症、CPSI欠損症では死亡例も少なくありません。OTC欠損症のヘテロ女性においても、長期的には急性増悪を発症し、生命に関わることがあります。 生命予後 や重篤な後遺症は発症時の最高血中アンモニア値と関連していますが、一時的に著明な高アンモニア血症を呈しても、治療によって速やかに正常化させることができれば、予後が良好な症例もあります。肝移植成功例以外は一生の治療が必要で、きちんと治療を続けること、急性疾患の時の対応が重要です。

患者さんに知って欲しいこと

高アンモニア血症は中枢神経障害をきたしますので、アンモニアのもとになる蛋白質を制限することが必要です。しかし、蛋白質不足になると皮膚炎(おむつかぶれや四肢末端炎)、毛髪の脱色、脱毛、脂肪肝を引き起こしますので、蛋白質摂取量のコントロールが重要です。また、蛋白質を制限しようとすると鉄やカルシウム、微量元素の不足、ビタミン不足にも陥りやすく、補充が必要です。高アンモニア血症では、嘔吐、気分不良、なんとなくボーッとするなどの症状があらわれますので、アンモニアを早めに測定し、早期発見、早期治療することが重要です。特に発熱時、嘔吐、下痢を伴う流行性疾患では、高アンモニア血症をおこしやすいので、注意が必要です。

※難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jpより、許可をいただき掲載しております。

 

[関連疾患]
尿素サイクル異常症
N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症
カルバミルリン酸合成酵素欠損症
オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症
古典型シトルリン血症
アルギニノコハク酸尿症
アルギニン血症
OTC欠損症
CPSI欠損症
シトルリン血症
NAGS欠損症