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ぴるびんさんかるぼきしらーぜけっそんしょう
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症Pyruvate carboxylase deficiency

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類4
ミトコンドリア病
細分類51
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症

病気・治療解説

概要

ピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)欠損症はミトコンドリア内に存在する糖新生系の律速酵素であり、ビオチンを補酵素とし、ピルビン酸からオキザロ酢酸を生成する(PDHCの項の図参照)。臨床症状を形作るのは、低血糖と、オキザロ酢酸低値がもたらすTCA回路の作動不全によるエネルギー不足、さらに重症例ではオキザロ酢酸由来のアスパラギン酸の不足による尿素回路作動不全による高アンモニア血症も問題になる1)。

疫学

頻度は25万人に1人とされている。

病因

PCは、分子量約127kDaのサブユニット1個から成るホモテトラマーであり、原因遺伝子は11q13に局在する常染色体劣性遺伝病である。

症状

臨床症状を形作るのは、糖新生の破綻による低血糖、TCA回路の作動不全によるエネルギー不足、さらに尿素回路作動不全による高アンモニア血症の3つである。症状の重篤度によりRobinsonは3病型に分類している2)。Group A:乳児型は、おもに生後5か月以内に発症し、低血糖、高乳酸血症、精神運動発達遅滞、腎尿細管性アシドーシスが高頻度に認められる。Group B:重症新生児型は、新生児期発症で多くは3か月以内に死亡し、低血糖、高アンモニア血症、高シトルリン血症、高リジン血症を伴い、いわゆる乳児致死型ミトコンドリア病(LIMD)の病因の1つである。図に私達の経験した症例の脳MRI画像と特徴的検査所見を示す。Group C:軽症型は生化学上はGroup A に似るが精神発達遅滞のほとんど認められない良性型である。

診断

診断の手引き

治療

治療は急性期と慢性期に大別される。急性期の主対策は低血糖と乳酸アシドーシスの是正で、糖質負荷は行っても一次的とすべきであり、乳酸を含まない輸液、アルカリ剤、呼吸・循環管理を行い、時には透析も必要となる。慢性期は乳酸の蓄積防止とエネルギー産生不足の解消であり、糖質は制限しビタミンB1、ビオチン、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などが試みられている。

成人期以降

基本的に予後不良な疾患であるが、Group Cでは成人期移行例も認められる。

参考文献

1) 伊藤道徳.ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症.別冊日本臨床 新領域別症候群シリーズ No.19 先天代謝異常症候群(第2版)上-病因・病態研究、診断・治療の進歩- 日本臨床社 大阪 2102; 439-442
2) Robinson BH. Lactic acidemia: Disorders of pyruvate carboxylase and pyruvate dehydrogenase. In: Scriber CR, et al (eds), The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed, McGraw-Hill, NewYork, 2001; 2275-2295

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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