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ぱんとてんさんきなーぜかんれんしんけいへんせいしょう
パントテン酸キナーゼ関連神経変性症Pantothenate kinase-associated neurodegeneration; PKAN

小児慢性疾患分類

疾患群11
神経・筋疾患
大分類30
脳の鉄沈着を伴う神経変性疾患
細分類84
パントテン酸キナーゼ関連神経変性症

病気・治療解説

概要

パントテン酸キナーゼ2 (PANK2) 遺伝子変異による常染色体劣性遺伝性疾患。脳の鉄沈着を伴う神経変性疾患(Neurodegeneration with brain iron accumulation; NBIA)の代表疾患である。

病理・病態

神経病理学的には淡蒼球の鉄沈着と変性を認める。
PANK2 はコエンザイムA生合成の律速酵素であり、ミトコンドリアに局在する。本症における神経変性には、PANK2 の活性低下によるリン脂質ならびに脂肪酸代謝の障害やミトコンドリア障害が関与すると推定される。またPANK2 の基質であるシステインは鉄のキレート剤であるため、これが蓄積すると鉄の沈着をきたし、酸化的障害がさらに増悪すると考えられる。

症状

Classic formは小児期(多くは6歳以前)に発症し、階段状に進行する。全身性ジストニアを主症状とし、その他に、舞踏運動・固縮などの運動異常症、構音障害、錐体路徴候、知的障害、網膜色素変性症を認める。Atypical formはclassic formよりも発症が遅く(平均14歳)、進行もより緩徐である。Classic formよりもジストニアは軽度で、構音障害・同語反復症、精神症状、すくみ足を特徴とする。

検査所見

頭部MRIが特徴的である。T2強調像にて淡蒼球が鉄沈着による著明な低信号を示し、その内側部に高信号域が認められる(the ”eye-of-the-tiger” sign)。末梢血で有棘赤血球症を認めることがある。

診断

診断の手引き

治療

根治療法はなく、ジストニアなどに対する対症療法を行う。ジストニアに対する脳深部刺激療法の有効性も報告されるが、効果の持続は短い(数年程度)。

予後

Classic formでは発症後数年以内に歩行不能となることが多い。

成人期以降の注意点

成人期に達する前に重症心身障害を呈し、誤嚥性肺炎やジストニアの増悪などにより死亡することが多い。生存できた場合にも、呼吸管理・栄養管理・ジストニアに対する対応・感染症対策など、集約的な全身管理が必要となる。

参考文献

Kurian MA, McNeill A, Lin JP, Maher ER. Childhood disorders of neurodegeneration with brain iron accumulation (NBIA). Dev Med Child Neurol. 2011; 53: 394-404.
Li A, Paudel R, Johnson R, Courtney R, Lees AJ, Holton JL, Hardy J, Revesz T, Houlden H. Pantothenate kinase-associated neurodegeneration is not a synucleinopathy. Neuropathol Appl Neurobiol. 2013; 39:121-31.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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