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DONSONかんれんしょうとうしょう-ていしんちょう-ししいじょうすぺくとらむ
DONSON関連小頭症-低身長-四肢異常スペクトラムDONSON-related microcephaly-short stature-limb abnormalities spectrum

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA572761]

先天性の小頭症および頭蓋顔面異常を特徴とし、軽度から重度までの一連の四肢異常を伴う、まれな常染色体潜性(劣性)の小頭性原発性低身長症(microcephalic primordial dwarfism)である。低身長が高頻度で認められ、しばしば重度である。

病気・治療解説

疫学

低身長および一連の四肢異常を合併するDONSON関連小頭症の正確な有病率は不明であるが、現在までに50名を超える患者が報告されている。カナダのサスカチュワン州北部の原住民の間では小頭症-小肢症症候群(microcephaly micromelia syndrome)の頻度が高い。

臨床像

子宮内発育遅延または出生時低体重(平均−2.9 SD)、低身長(−3.7 SD)、および先天性小頭症(−5.1 SD)を呈する。頭蓋顔面の特徴としては、幅広い鼻梁、眼瞼裂短縮、小口症、小顎症などがある。先天性四肢異常の重症度は様々で、上肢と下肢の両方が侵されるが、上肢の方がより重度である。最も軽度の奇形は、彎指症/彎趾症、屈指症/屈趾症、合指症/合趾症、または中節骨短縮症で、主に小頭症-低身長-四肢異常症候群(microcephaly-short stature-limb abnormalities syndrome)と呼ばれる臨床病型に関連するものである。重度の奇形は通常、小頭-小肢症候群に関連するものである。四肢は短く、橈骨、尺骨、母指、および/または第5指の低形成を伴う。下肢(腓骨、膝蓋、第1および第5趾)が発達不良になることがある。足はばち状のことがある。小頭症-小肢症症候群では、呼吸不全による周産期死亡率が非常に高い。声門下狭窄、横隔膜ヘルニア、および後鼻孔閉鎖症が、低身長および軽度の四肢異常を有する患者の一部で報告されている。脳画像では通常、脳回の単純化を認める。知的能力は正常から中等度の知的障害まで幅がある。

病因

本疾患は、ゲノム複製中に複製フォークを安定させるレプリソームの構成要素であるDONSON(downstream neighbor of SON)蛋白をコードするDONSON(21q22.11)の両アレル変異に起因する。

診断方法

診断は臨床徴候に基づく。具体的には、先天性小頭症および低身長に加えて、少なくとも軽微な第1指および第5指の奇形あるいは上肢および/または下肢の低形成/奇形を合併する。ターゲットシーケンシングおよび全エクソームシーケンシングにより、本疾患の原因となるコード領域のバリアントが同定される。ただし、非コード領域の病的バリアントは、トランスクリプトームとゲノムの統合的シーケンシング(integrative transcriptomic and genomic sequencing)でしか同定できない可能性がある。

鑑別診断

ファンコニ貧血(FA)と臨床的にかなりの重複があり、当初FAと診断された患者が数例ある。その他の鑑別診断として、VACTERL、Meier Gorlin症候群、Taiby Linder症候群などがある。

出生前診断

本疾患は超音波検査により出生前に同定されることがある。しかしながら、小頭症や四肢の奇形がないことで本疾患を除外することはできない(特に最軽症病型の場合)。家系内で分子遺伝学的診断が確定すれば、以降は出生前診断が可能になる。

遺伝カウンセリング

両親ともに病的DONSONバリアントのヘテロ接合体である場合、子供が罹患するリスクは各妊娠で25%である。

管理および治療

治療は対症療法である。生後数年間にわたり、必要に応じて経鼻胃管栄養を行って十分な栄養補給を確保する必要がある。てんかんは抗てんかん薬で治療する。理学療法および言語療法が有益となる可能性がある。

予後

小頭症-小肢症症候群では期待余命が大幅に短くなる。報告された患者はすべて死亡しており、大半が周産期死亡であった。軽症例での予後およびQOLは、四肢奇形および知的障害の重症度に依存する。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Sandrine PASSEMARD

日本語翻訳版の監訳
小崎 健次郎(IRUD臨床専門分科会 小児科(先天異常)チーフ/慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター 教授)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/DONSON-related_microcephaly_JP_ja_PRO_ORPHA572761.pdf
英語原文URL
http://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?lng=en&Expert=572761

最終更新日:221年4月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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