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ていしんちょう-たんししょう-ひまん-ぜんぱんてきはったつちたいしょうこうぐん
低身長-短指症-肥満-全般的発達遅滞症候群Short stature-brachydactyly-obesity-global developmental delay syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA464288]

低身長、末節骨の低形成を伴う手の短指症、全般的発達遅滞、および知的障害を特徴とする、まれな遺伝性多発性先天異常症候群であり、その他にも痙攣発作、肥満、および頭蓋顔面の形態異常(小頭症、高い額、平坦な顔、眼間開離、くぼんだ眼、平坦な鼻梁、鼻孔の外反、長い人中、薄い口唇、短い首など)が様々な頻度でみられる。

病気・治療解説

疫学

現在までに文献で報告されている症例は15例に満たない。

臨床像

子宮内発育遅延または低出生体重が最初の臨床像となる可能性がある。全般的発達遅滞の症状としては、筋緊張低下、自立座位および自立歩行の達成の遅れ、著明な言語発達の遅れなどがある。知的障害は軽度から重度までの幅がある。眼の異常としては、斜視、コロボーマ、涙管狭窄症、青色強膜などがある。乳児期後半に肥満が生じる。乳児期または小児期に痙攣発作が生じることがあり、欠神や熱性痙攣などその表現型は様々である。末節骨の低形成に加えて、第4指および第5指の中手骨が著しく短縮することがあり、足の短趾症もみられることがある。報告されているその他の特徴として、両側膝蓋骨欠損、感音難聴、乳児期早期の哺乳困難、嚥下困難、脊柱後弯、湿疹、停留精巣、喉頭軟化症などが様々な頻度でみられる。

病因

この奇形は、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素7(PRMT7[16q22.1]によってコードされる)の機能低下により、タンパク質のアルギニン残基のメチル化が減少することに起因する。

診断方法

CADASILの診断は、若年発症の脳卒中または認知機能低下とMRI上での虚血性変化(対称性の白質高信号、皮質下梗塞、微小出血など)に加えて、脳卒中または認知症の家族歴がみられる患者で考慮すべきである。診断はシステインの変化をもたらす典型的なNOTCH3変異を同定することで分子的に確定できる。あるいは、皮膚生検検体の電子顕微鏡検査により血管壁に特徴的な顆粒状沈着物を同定できるほか、免疫組織化学染色により血管壁のNOTCH3染色陽性を示すことも可能である。

鑑別診断

鑑別診断には、偽性副甲状腺機能低下症を伴うオルブライト遺伝性骨異栄養症などがある。

出生前診断

診断を確定できる出生前検査はないが、超音波検査で子宮内発育遅延を認めることがあり、その場合にはさらに詳しく調べるべきである。

遺伝カウンセリング

遺伝形式は常染色体潜性(劣性)である。リスクのあるカップル(両者とも病的バリアントのキャリアであるカップル)には遺伝カウンセリングを勧めて、妊娠のたびに罹患した子供が生まれるリスクが25%あることを知らせるべきである。

管理および治療

PRMT7の両アレル性にバリアントを有する患者には多系統に多彩な異常が生じることから、集学的なフォローアップが必要である。神経学的なフォローアップが必要であり、特に痙攣発作に注意を払う。診断時の聴力評価が推奨される。また、サーベイランスに成長および発達の頻回なモニタリングと定期的な眼科的フォローアップを含めるべきである。ホルモン代謝およびリン-カルシウム代謝の変化がこれまでに2名の患者で報告されているため、これらについても検査すべきである。

予後

現在のところ、全ての患者で発達遅滞および知的障害が報告されており、その重症度は様々である。聴覚障害がある場合、言語面への影響がより重度となる。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Irene VALENZUELA PALAFOLL

日本語翻訳版の監訳
大薗 恵一(IRUD臨床専門分科会 内分泌 委員/大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学 小児科学講座 教授)

日本語版URL
http://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/SBIDDS_JP_ja_PRO_ORPHA464288.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/464288

最終更新日:2020年10月
翻訳日:2023年3月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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