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Greigずがいたごうししょうこうぐん
Greig頭蓋多合指症候群Greig cephalopolysyndactyly syndrome

小児慢性疾患分類

疾患群-
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大分類-
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細分類-
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[Orpha番号:ORPHA380]
指の重複、多指趾症、合指趾症、および/または過指趾症を伴う胚発生中のまれな発生障害で、多発性の先天異常症候群を特徴とする。

病気・治療解説

疫学

診断の確認法は一定でないため、正確な出生時罹患率の推定は困難である(推定値の範囲は1~9/1,000,000)。

臨床像

主な所見として眼間隔が広いこと、前額部突出を伴う大頭症、軸前性(preaxial)または軸後性(postaxial)多指趾症、および皮膚の合指趾症などがある。多指趾症は足では軸前性、手では軸後性の頻度が最も高く、多様な皮膚性合指趾症を伴うが、四肢の所見には著しいばらつきがある。頻度の低い他の所見としては、中枢神経系の異常、ヘルニア、認知障害などがある。

病因

Greig頭蓋多合指症候群(GCPS)は転写因子GLI3遺伝子の染色体7p14.1の機能喪失により生じる。

診断方法

GCPSの所見は比較的非特異的であり、特異度や感度の高い臨床基準が定められていないため、臨床診断には困難を伴う。少なくとも1肢における皮膚性合指趾症を伴う軸前性多指趾症、眼間開離、および大頭症という古典的三徴がみられれば、GCPSの暫定診断を下すことができる。GCPSに一致する表現型(ただし上記3つ全ての徴候を呈していなくてもよい)がみられGLI3病原性変異体を有する個人は、GCPSの診断を確定できる場合もある。さらに、GCPSに一致する表現型がみられ、かつ家系内に常染色体優性遺伝に一致する確定診断を受けた近親者がいる個体についても、診断を確定できる場合がある。

鑑別診断

鑑別診断としては、軸前性多指趾症4型(preaxial polydactyly type 4)、GCPS隣接遺伝子症候群(GCPS contiguous gene syndrome)、肢先端脳梁症候群(acrocallosal syndrome)、ゴーリン症候群(Gorlin syndrome)、カーペンター症候群(Carpenter syndrome)、Teebi症候群などがある。本疾患はPallister-Hall症候群と同じ遺伝子の異なる変異で発症する疾患であり、肢先端脳梁症候群(acrocallosal syndrome)の一病型である。

出生前診断

分子遺伝学的な方法による出生前診断が技術的に可能である。

遺伝カウンセリング

この疾患は常染色体優性形式で遺伝する。この疾患の原因となる突然変異を有する個人には遺伝カウンセリングを提案し、病原性変異体を子孫に伝えるリスクが50%であることを知らせるべきである。

管理および治療

本疾患の治療は対症療法であり、著しい四肢奇形は形成外科または整形外科手術の適応である。

予後

予後は一般に極めて良好である。発達遅滞または認知障害の発生率が若干高まる可能性がある。GLI3を含む大きな欠失がある患者は、予後不良な経過となる可能性がある。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Leslie BIESECKER
日本語翻訳版の監訳
吉橋 博史(東京都立小児総合医療センター臨床遺伝科)
金田 秀昭(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)

日本語版URL
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Greigzugaitagoshishokogun_JP_ja_PRO_ORPHA380.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/380

最終更新日:2020年1月
翻訳日:2021年2月

本要約の翻訳は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの資金援助の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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