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  2. 心筋緻密化障害

しんきんちみつかしょうがい
心筋緻密化障害Non-compaction of the ventricle

小児慢性疾患分類

疾患群4
慢性心疾患
大分類14
心筋緻密化障害
細分類18
心筋緻密化障害

病気・治療解説

概要

胎生期には、左室内膜側心筋層は、粗な間隙が網目状に乱れた走行をしており、これが発育とともに密となって内腔面の粗い肉柱形態も消失して、肉柱は浅く細かくなっていく。心室特に左室の心筋が全層にわたって緻密な状態に成熟せず、間隙が多くなっている状態を緻密化障害という。断層心エコー法、MRIまたは左室造影法によって左室内面の粗い肉柱形成とその間の深い陥凹をみとめ, その心外膜側に、緻密化障害層より薄い緻密化層を認める。家族性のことがあり、臨床的には拡張型心筋症の病態をとる。

病因

家族性のことがあり、臨床的には拡張型心筋症の病態をとる。胎生期には、左室内膜側心筋層は、粗な間隙が網目状に乱れた走行をしており、これが発育とともに密となって内腔面の粗い肉柱形態も消失して、肉柱は浅く細かくなっていく。心室特に左室の心筋が全層にわたって緻密な状態に成熟せず、間隙が多くなっていることに起因する。
細胞骨格や筋原線維を構成するタンパク質の遺伝子変異で本症が発生することがある。x染色体上のタファジン遺伝子異常によるものをBarth症候群と呼ぶ

疫学

まれな疾患である。有病率は不明である

臨床症状

乳児期では高度の心不全症状を認める。成人では軽症のことがある。血栓塞栓や不整脈を合併することがある。時に、成人で、無症状で偶然発見されることもある

診断

本症の左室心筋は、心外膜側の薄い緻密化層と、心内膜側の厚い肉柱の網状構造(緻密化障害層)の2層からなる。確定診断は肉眼所見、画像診断。組織所見で、拡張型心筋症と心内膜線維弾性症を除外する必要がある。

[理学的所見]
III音の奔馬調律、僧帽弁閉鎖不全による収縮期駆出性雑音を聴取することがある。浮腫、肝腫大など心不全所見を認める。

[胸部エックス線所見]
胸部エックス線で心拡大を認める。非特異的である。

[心電図所見]
左室肥大を認めることもあるが、非特異的である。

[心エコー所見]
緻密化障害層(NC)とより薄い緻密化層(C)を認める。
統一した診断基準はないが、診断基準3がover-diagnosisが少なく、最近汎用されている.
診断基準1 収縮期に NCの厚さがCの厚さの2倍(成人)ないし1.4倍(小児)以上(Jenni 2001)。
診断基準2 拡張期に Cの厚さ/(NCの厚さ+Cの厚さ)が0.5未満(小児Chin 1990)。
診断基準3 拡張期に NCの厚さがCの厚さの2倍 以上(Paterick 2012)
上記の診断基準に加え、カラードプラで、血流が左室内面の粗い肉柱とその間の深い陥凹に入ること。

[MRI]
拡張期に Cの厚さ: (NCの厚さ+Cの厚さ)が1:2.3 以上。
[心臓カテーテル、心筋生検]
心室収縮能は低下し、心室は拡張する。心筋生検では特異所見を認めないことが多い。左室造影で、粗い肉柱と、その間の深い陥凹を認める

治療

1. 日常生活の管理
無症状ならDの管理区分。有症状ならCの管理区分。原則として強い運動は禁止、学校の運動部は禁止。

2. 薬物治療
無症状の者への薬物治療の適応は、明らかでない。有症状例には慢性心不全に対する治療をおこなう。
利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与する。β遮断薬(カルベジロールなど)の投与も考慮する。
急性心不全には、利尿薬、フォスフォジエステラーゼIII阻害薬、カテコラミンの点滴をおこなう。
不整脈に対しては、抗不整脈薬を投与する。
心室性頻拍症に対しては、アミオダロン内服や植え込み型除細動器(ICD)が適応となる。

3.デバイス治療:
心停止蘇生例に対しては、ICD植え込みが適応となる。右室と左室が同期して収縮していない例や、心電図上QRS幅が広い例では、心室再同期療法のペースメーカー植え込みが適応となる場合がある。

4.心臓移植
内科的治療に反応しない場合には、心臓移植の適応となる。その前に状態悪化が予想される時は、人工心臓の植え込みが適応となる場合がある

予後

難治性の予後不良の疾患である。特に乳児期発症例は予後が不良である。時に、成人で、無症状で偶然発見されることもある

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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