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いでんせいふるくとーすふたいしょう
遺伝性フルクトース不耐症Hereditary fructose intolerance (HFI)

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類5
糖質代謝異常症
細分類59
遺伝性フルクトース不耐症

病気・治療解説

概要

果糖・蔗糖等を含む食品摂取後、短時間で出現する低血糖を特徴とする疾患(OMIM #22960)。典型例は離乳食導入頃から発症し、肝腎組織障害が急速に進行して致死的となりうるが、原因糖質の除去食によって軽快する。

疫学

欧米白人での患者頻度は2万〜3万人に1人程度と推定されている1)。日本人症例は1990年までに3家系5例が報告されている2)が、以後の文献的報告はなく、本邦では極めて稀な疾患と考えられる。

病因

フルクトース 1,6-二リン酸アルドラーゼ (ALDO) の肝型アイソザイム ALDO-B の活性低下による。責任遺伝子は 9q22 に位置する ALDOB で、常染色体劣性遺伝形式をとる。

症状

1)果糖摂取後の急性症状
・腹部症状:腹痛,嘔気,嘔吐
・低血糖症状:蒼白,冷汗,振戦,意識障害,けいれん

2)果糖摂取継続による慢性・進行性の症状
・哺乳不良・食思不振,身体発育遅延
・肝障害→肝硬変・肝不全へと進展:肝腫大,脾腫,黄疸,出血傾向,腹水,浮腫
・腎近位尿細管障害→腎不全へと進展:タンパク尿,ビタミン D 抵抗性くる病

母乳哺育中の乳児は症状を示さない。典型的には、蔗糖・果糖が添加された育児用調製粉乳の使用や離乳食の開始に伴って発症するが、幼児期〜学童期に肝腫大や発育遅延で気づかれるケースもある。幼児期以降は甘味を嫌う食癖を自ら獲得し、齲歯をほとんど認めないことが特徴的である。

診断

1)血液検査(図1)
・食後低血糖(低インスリン性),低リン血症,高乳酸・ピルビン酸血症
・アミノトランスフェラーゼ (AST, ALT) 増加,高ビリルビン血症,凝固系異常
・高尿酸血症:ATP 消費に伴う AMP 異化亢進によって増加する。
・高マグネシウム血症:ATP にキレートされている Mg イオンの放出による。
・代謝性アシドーシス:乳酸・尿酸増加と近位尿細管での重炭酸再吸収障害による。

2)アミノ酸分析(図1)
・血漿:アラニン増加(高乳酸・ピルビン酸血症に伴う所見)
メチオニン・チロシン増加(肝障害を反映)
・尿 :汎アミノ酸尿(近位尿細管障害を反映)

3)果糖負荷試験
血糖・血清無機リン濃度の低下が認められれば診断的であるが、急性症状出現の
危険を伴うため、現在は推奨されない。

4)酵素診断
ALDO-B 活性低下を認めれば確定するが、実施には肝などの生検組織が必要。
肝組織像としては、脂肪変性や門脈周囲を中心とする線維化などが観察される。

5)遺伝子診断
近年では確定検査として ALDOB 遺伝子解析が行われている。

治療

果糖摂取制限が唯一の治療法であり、蔗糖・果糖を含む食品の摂取を極力控えさせる。 摂取許容量について、文献によって果糖として 20〜40mg/kg/日,1,500mg/日 などの値が挙げられているが、確立された基準はない3)。不十分な制限では身体発育遅延が残るため、少なくとも小児期には、自覚症状による耐容量設定とはせず、厳格な制限が必要である。
自然食品として果物・野菜類の摂取量が少なくなるため、各種ビタミン類、特にビタミンCと葉酸が欠乏しないよう、適宜補充する。

予後

乳幼児期に発症する重症例の場合、診断不明のまま制限糖質の摂取が続けば、急速に肝不全へと進行して致死的となる危険が高い。治療開始によって各種症状は速やかに改善するが、幼少患者の肝腫大が軽快するまでには数ヶ月から数年を要するとされる。一方、成人期に始めて診断される症例も少なくないことから、重い症状を示さずに乳幼児期を通過した患者の予後は悪くないと考えられる。

成人期以降

果糖・蔗糖の摂取制限は継続する必要がある。人工甘味料ソルビトールは、体内でフルクトースに代謝されるので、注意が必要である。

参考文献

1) Bouteldja N, Timson DJ. The biomedical basis of hereditary fructose intolerance. J Inherit Metab Dis 2010; 33: 105-12.
2) Kajihara S, et al. Hereditary fructose intolerance caused by a nonsense mutation of the aldolase B gene. Am J Hum Genet 1990; 47: S62-7.
3) Marcason W. Is medical nutrition therapy (MNT) the same for hereditary vs dietary fructose intolerance? J Am Diet Assoc 2010; 110: 1128.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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