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せいちょうほるもんふおうせいしょうこうぐん(いんすりんようせいちょういんしいちふおうしょうをのぞく。)
成長ホルモン不応性症候群(インスリン様成長因子1(IGF-1)不応症を除く。)Growth hormone insensitivity

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類5
成長ホルモン不応性症候群
細分類8
成長ホルモン不応性症候群(インスリン様成長因子1 (IGF-1)不応症を除く。)

病気・治療解説

概要

特異的な顔貌,肥満などの成長ホルモン(GH)分泌不全と類似する症状を示すにもかかわらず,血漿GH値が高値を示す、あるいはGH抵抗性を示す病態である。GH受容体およびそれ以降の細胞内情報伝達分子の異常および先天性IGF-I産生異常によるものを一次性GH不応症候群と呼び, GHおよびGH受容体に対する抗体,栄養不良,肝疾患,糖尿病により二次的にGH抵抗性が生じる場合二次性GH不応症候群と呼ぶ場合もある。
1966年にLaronによって,低身長,特異的な顔貌,肥満などの成長ホルモン(GH)分泌不全と類似する症状を示すにもかかわらず,血漿GH値が高値を示す症例が報告された。1989年、本疾患はGH受容体遺伝子の異常によることがあきらかとなった。GHシグナルが十分に伝達されないため、GH分泌不全と同様の特徴ある症状,所見を示す。Laron型低身長症とも呼ばれる。

病因

大部分は GH受容体遺伝子の変異による。60以上の変異が報告されている。GH受容体の細胞外ドメインの変異例の報告が多いが,細胞膜内あるいは細胞内ドメインの変異例の報告もある。常染色体劣性遺伝で,通常は変異ホモ接合体で発症するため,特定の血族結婚家系から多くの患者が報告されている。ヘテロ接合体変異例により発症する例もある。ドミナントネガティブ効果に起因する変異も報告されている。
GH受容体以降の細胞内情報伝達系の異常による低身長症も以前から想定されており, 2003年に初めて変異STAT5bによる低身長症が報告された。

疫学

極めて希

臨床症状

GH, IGF1系の作用不足が病態を形成するため、症状は GH 分泌不全性低身長症と類似する。即ち、低身長症(-4~-10SD)、肥満、思春期遅発、骨端線閉鎖遅延、小さい性腺、皮膚非薄化、高い声、除脂肪体重の減少、骨密度減少などである。GH 受容体の機能がある程度保たれている症例では低身長を含めて症状が軽度である。

診断

低身長にもかかわらず、血漿 GH 値が高い症例では本疾患を疑う。GH 分泌刺激試験では GH値は上昇しているが、GH受容体異常のため十分なGH作用が無く、血漿 IGF1や IGFBP-3は低値を示す。切断された GH受容体細胞外ドメインである血中 GH結合蛋白は大部分の症例で低値を示す。外因性に GHを投与して IGF1産生の増加を確認する IGF1 generation test は本症の診断に有用で、本症では IGF1の増加はみられない。
確定診断は、GH受容体遺伝子あるいはそれ以降の細胞内情報伝達機構に関与する遺伝子の変異を証明する。

治療

低身長治療には遺伝子組換え IGF1 (150~200μg/kg/day) の皮下投与を行う。低血糖をきたす可能性があり、長期的に rIGF1 を投与された症例は多くない。

予後

症例が少なく、予後については示すべき結果が得られていない。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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