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ごなどとろぴんひいぞんせいししゅんきそうはつしょう
ゴナドトロピン非依存性思春期早発症Gonadotropin-independent true precocious puberty

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類26
思春期早発症
細分類58
ゴナドトロピン非依存性思春期早発症

病気・治療解説

概念

二次性徴とは、男子における精巣の増大と外性器の成熟・陰毛の発生・腋毛やひげ、変声が、また 女子における乳房発達、陰毛発生と外性器の成熟および腋毛の発生・月経がおこり、順次進行していくことである。一般に、二次性徴の開始時期には個人差があり、平均開始年齢からほぼ正規分布を示すと考えられている。二次性徴が平均から2SDまたは95パーセンタイルよりも早期に開始したものは、標準的な幅を超えて病的に早いと考えられ、これを思春期早発症と定義する。
思春期における二次性徴は、脳内視床下部よりも中枢の「成熟時計」と呼ばれる体内時計により、視床下部ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が亢進し、これが下垂体からのゴナドトロピン(LHおよびFSH)の分泌を促進し、さらにゴナドトロピンが性腺からの性ホルモン(精巣からのテストステロンまたは卵巣からのエストロジェン)分泌を促進することで発来し、進行する。
思春期早発症は、ゴナドトロピン依存性とゴナドトロピン非依存性に分類される。ゴナドトロピン依存性思春期早発症は、中枢のゴナドトロピン放出ホルモン分泌亢進から始まるゴナドトロピン分泌促進を認めるもので、脳内の変化に起因する。一方、ゴナドトロピン非依存性思春期早発症は、脳内のホルモン分泌亢進がない状態で、末梢における内因性分泌亢進あるいは外因性の性ホルモン曝露により二次性徴を認めるものであり、脳のゴナドトロピン分泌はむしろ抑制される。

疫学

思春期前年齢(0〜7ないし9歳)1万人に5〜10名程度

病因

性ホルモン産生腫瘍、hCG産生腫瘍など腫瘍性病変、外因性の性ホルモンなどによる。
1. 女児:卵巣腫瘍、副腎腫瘍、McCune-Albright 症候群、自律性機能性卵巣(囊腫)、外因性エストロジェン、その他
2. 男児:家族性テストトキシコーシス、胚細胞腫瘍、先天性副腎皮質過形成症、外因性アンドロジェン、その他

症状

二次性徴が早期に発来する。女児では乳房腫大、早発陰毛、早発月経を来す。男児では精巣の増大、陰茎の増大、早発陰毛、変声を来す。成長の加速を認め、骨年齢が促進する。男性ホルモン曝露が多い場合、面皰の増加なども認める。
女児における男性ホルモン産生腫瘍や副腎皮質過形成症では、男性化を伴う異性性の思春期早発を認める。McCune-Albright症候群では特徴的な色素沈着(カフェオレ斑)、線維性骨異形成症を伴う

治療

ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(LHRHアナログ)は無効である。
治療の目的は、1) 原疾患があればその治療、2) 成人身長低下の防止、3) 精神的成熟と身体成熟の不均衡の是正、である。ゴナドトロピン非依存性思春期早発症では、1) の治療が主となり、腫瘍性病変は外科的治療や化学療法で治癒することが多い。原疾患の治療が困難な場合は、ステロイド合成阻害剤(トリロスタン,酢酸シプロテロンなど)、性ステロイド阻害薬(アロマターゼ阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤等)を用いるが、効果は限定的である

予後

外科的治療等により治癒すれば予後はよいが、二次的にゴナドトロピン依存性思春期早発症を来すことがある。原疾患の治療困難例は、身長予後が不良となることもある

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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