いしょせいふくじんひしつしげきほるもんさんせいしょうこうぐん異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生症候群Ectopic ACTH syndrome
小児慢性疾患分類
- 疾患群5
- 内分泌疾患
- 大分類18
- クッシング(Cushing)症候群
- 細分類34
- 異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生症候群
病気・治療解説
定義
高コルチゾール血症にともない、糖代謝、脂質代謝、循環の異常、蛋白異化、免疫力低下をきたす状態がクッシング症候群である。クッシング症候群は副腎腺腫、副腎皮質癌、副腎過形成からの自律性コルチゾール分泌を原因とするACTH非依存性とACTH産生下垂体腺腫や異所性ACTH産生腺腫を原因とするACTH依存性に分類される。下垂体以外の組織にてACTHが産生され、副腎皮質を刺激し、クッシング症候群を引き越すものが本症である。まれにACTH放出ホルモン分泌異常(CRH)によることがある。
病因
本症の病態は異所性にACTH(まれにCRH)が産生されることによって発症する。異所ACTH産生腫瘍には肺小細胞癌、気管支カルチノイドなどのカルチノイド、悪性上皮胸腺腫、膵臓ランゲルハンス島癌、甲状腺髄様癌などがある。
頻度
正確な小児での頻度は不明である。
症状・検査
満月様顔貌、中心性肥満または水牛様脂肪沈着、皮膚の伸展性赤紫色皮膚線条(幅 1 cm 以上)、皮膚のひ薄化および皮下溢血、近位筋萎縮による筋力低下、小児における肥満をともなった成長遅延などがある。非特異的症候として高血圧、月経異常、座蒼(にきび)、多毛、浮腫、耐糖能異常、骨粗鬆症、色素沈着、精神異常がある。異所性ACTH産生症候群では皮膚粘膜に色素沈着を認めることが多い。 診断についてはクッシング病の診断ガイドラインを参考にする。気管支カルチノイドのような小さな腫瘍が潜在する場合、クッシング病との鑑別がしばしば困難である。画像診断(CT, MRI)の他にソマトスタチンアナログを用いたオクテレオチドシンチグラフィーやFDG-PETが異所性ACTH産生腫瘍の局在診断に有用なことがある。
治療
外科的切除が第1選択であるが、多くは悪性腫瘍であるため、手術不可能のことが多い。その場合にはステロイド合成阻害薬または両側副腎摘出を考慮する。
小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。
この疾患に関するピックアップ記事、イベントはありません