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そうきはっしょうがたえんしょうせいちょうしっかん
早期発症型炎症性腸疾患Early-onset Inflammatory Bowel Disease

小児慢性疾患分類

疾患群12
慢性消化器疾患
大分類4
炎症性腸疾患(自己免疫性腸症を含む。)
細分類16
早期発症型炎症性腸疾患

病気・治療解説

疫学

米沢らの調査では、1998年からの10年間に、国内小児消化器疾患診療施設において、17例のクローン病、12例の潰瘍性大腸炎、そして5例の分類不能型腸炎が2歳未満で発症し診療されていた。その他にも、新生児~乳児期発症の難治性の血便・下痢・体重増加不良をきたす症例が、新生児・免疫疾患診療施設などを中心に存在することが予想されるが、その実態は不明である。

病因

本疾患の病因は明らかにされていないが、乳児期発症炎症性腸疾患患者の一部に原発性免疫不全患者が存在することが知られている。慢性肉芽腫症、分類不能型免疫不全症、Wiskott-Aldrich症候群の他にも、IL-10受容体異常症・IL-21欠損症などにも炎症性腸疾患と類似の腸炎症状を合併することがあると報告されている。

症状

結腸・直腸を病変の主座とする症例では血便・下痢が主症状となることが多い。一方で小腸病変を主体とする症例では腹痛・体重増加不良・低アルブミン血症・貧血など、発症初期には他覚所見が乏しいことが少なくない。乳幼児期発症クローン病では、肛門周囲病変のみで発症し、数年の経過の後に消化管病変が出現することがしばしば経験される。
患者の多くで、経腸栄養の確立が困難で、中心静脈栄養の併用、副腎皮質ステロイドをはじめとする免疫抑制療法を必要とする。

検査

上部および下部消化管内視鏡にて、肉眼的および病理学的に慢性炎症像を認めることが必要となる。クローン病成人において認められる敷石状病変・消化管狭窄は乳児例では必ずしも高頻度には認められない。潰瘍性大腸炎では直腸の炎症所見に乏しいrectal sparingの頻度が成人より高いこと、病理での慢性炎症所見に乏しいことがある。小腸病変の存在が疑われる場合には消化管透視・小腸内視鏡などで小腸の画像評価を行うことも重要である。また、診断にあたっては、感染症と免疫不全症の除外が重要となる。

治療

年長児発症のクローン病・潰瘍性大腸炎に準じた治療を行う。特に小児では、その効果とともに、安全性でも利点がある栄養療法を基本とした治療を行う。原発性免疫不全症が基盤にある症例では造血細胞移植が治療の選択肢となりうる。

予後

一部の早期発症例は各種治療に抵抗性を示す。米沢らが報告した15例の乳児期発症クローン病のうち2例が死亡している。一方、各種治療を行い経過良好な症例も報告されており、個々の症例に応じて考慮する必要がある。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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