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へんけいせいきんじすとにー
変形性筋ジストニーdystonia musculorum deformans

小児慢性疾患分類

疾患群11
神経・筋疾患
大分類29
変形性筋ジストニー
細分類82
変形性筋ジストニー

病気・治療解説

概要

ジストニーとは、持続性または反復性の筋収縮による異常姿勢や不随意運動を特徴とする運動異常症である。ジストニーを生じる疾患群の内で、脳の器質的病変や変性を伴わないものを一次性ジストニーと呼び、近年数多くの原因遺伝子が同定されている(DYTシリーズ)。ここではDYTシリーズに含まれる疾患群を、変形性筋ジストニーとして取り扱う。

病因

DYTシリーズの病因遺伝子は数多く、シナプス伝達・ドパミン代謝・イオンチャネル・エネルギー代謝・細胞骨格・ストレス応答・オートファジーなど、多様な分子機構に関与する。これらの異常により、大脳基底核を中心に、大脳感覚-運動野及び小脳も含むネットワークの機能障害を生じるものと考えられている。

症状

常染色体優性遺伝性を示す疾患が多いが、その他の遺伝様式を示す疾患も含まれる。また浸透率の低さなどから孤発例も多い。多くは小児期に発症する。四肢のいずれかから発症することが多いが、体幹または顔面・頭頸部から発症することもある。症状は進行性に他の身体部位に広がり、全身性ジストニーを呈することが多い。持続性筋収縮による肢位や姿勢の異常と、反復性筋収縮による不随意運動を生じ、姿勢の維持や随意運動が妨げられる。しばしば歩行不能となり、脊柱の側彎や捻転を伴う。まれに急激な症状の増悪により、呼吸不全・全身の消耗・横紋筋融解などを生じて、生命が脅かされることもある(dystonic storm)。通常知能は正常で、ジストニー以外の神経症状を認めないが、ミオクローヌス・パーキンソニズムなどの運動異常症を伴うこともある。またDYTシリーズには、運動やカフェイン摂取などの誘因により、ジストニーが発作性に生じる疾患群(発作性ジスキネジア)も含まれる。

検査所見

頭部MRIなどの画像検査には通常異常を認めない。DYT5(瀬川病)では血液・髄液のプテリジン分析にて異常を認める。

診断

小児~若年発症の全身性ジストニーで、脳の器質的病変や薬剤などの原因が否定され、かつ神経変性疾患ならびに代謝異常症が除外された場合に、本症と診断する。
DYTシリーズで報告されている遺伝子の異常が検出されれば診断は確定するが、本邦では検査できる施設が限られている上、未だ原因遺伝子の同定されていない疾患もあるので、現時点では遺伝子検査による確定診断はむずかしいことが多い。

治療・予後

治療には、薬物療法(レボドパ、抗コリン剤、ベンゾジアゼピン系薬剤など)、ボツリヌス毒素療法、淡蒼球内節に対する脳深部刺激療法がある。DYT5ではレボドパが著効するが、それ以外の疾患では通常薬物療法の効果は乏しく、日常生活に大きな制約を生じていた。しかし近年脳深部刺激療法の有効性が示され、予後は大きく改善した。脳深部刺激療法によりほぼ通常の日常生活や就学・就労が可能となる患者もいる。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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