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だいどうみゃくべんきょうさくしょう
大動脈弁狭窄症Aortic valve stenosis

小児慢性疾患分類

疾患群4
慢性心疾患
大分類63
心臓弁膜症
細分類93
大動脈弁狭窄症

病気・治療解説

概要

大動脈弁の狭窄により左室から大動脈への駆出に支障をきたす先天性心疾患。大動脈二尖弁の有病率は2-3%とも言われ、大動脈弁に異常を有する人口は少なくないが、小児期に発症するのはその一部である。重症例では新生児期・胎児期から重症心不全(低心拍出)を呈する。軽症例では無症状であるが、軽・中等症においても加齢とともに進行することが多く、運動時息切れ、易疲労感から運動時胸痛、失神を認めることがあり時に突然死を起こす。中等症以上に、カテーテル治療か、外科的治療(外科的交連切開術あるいは弁置換術)が必要である。

病因

先天性。病因不明であるが、人種差があり、白人に多い

疫学

先天性心疾患の3-6%を占める。大動脈二尖弁の有病率は2-3%とも言われ、大動脈弁に異常を有する人口は少なくないが、小児期に発症するのはその一部であると考えられる

臨床症状

重症例では新生児期・胎児期から重症心不全(低心拍出)を呈する。軽症例では無症状であるが、軽・中等症においても加齢とともに進行することが多く、運動時息切れ、易疲労感から運動時胸痛、失神を認めることがあり時に突然死を起こす

診断

最重症例では出生前、出生後の重症心不全が診断のきっかけとなるが、軽・中等症では心雑音で気づかれることが多い。頸部に放散する駆出性収縮期雑音を胸骨右縁に聴取する。大動脈閉鎖不全を合併している場合(1/4程度)には拡張期雑音を聴取する。軽、中等症では駆出性クリックを聴取する。圧較差が25mmHgを越えるとスリルを触れる。
胸部エックス線:一般に心拡大は軽度だが、重症例では明らかな心拡大、肺うっ血、右心系の拡大を呈する。拡張した上行大動脈が認められる。

心電図:左室肥大所見を呈するが、左室肥大所見の程度と圧較差の程度は必ずしも相関しない。
心臓超音波検査:左室長軸像で大動脈弁肥厚、ドーム形成を認める。短軸像では弁尖の数、交連部の癒着などが観察できる。また大動脈は拡大する(狭窄後拡張)。カラードプラで大動脈弁から乱流パタンを認め、流速を計測することで圧較差を推定することができる。
心臓カテーテル検査:左室圧の上昇を認め、大動脈圧との圧較差から重症度判定、治療適応の決定が可能である。左室造影で肥厚した大動脈弁がドーム上に認められ、上行大動脈は拡張している。

運動負荷:トレッドミル、エルゴメーターなどの運動負荷テストは重症度判定に有用である。

重症度分類

軽症:左室—大動脈圧差50mmHg未満
中等症:左室—大動脈圧差50mmHg以上
重症:左室—大動脈圧差75mmHg以上で、ST変化、有症状
新生児、乳児では、圧差に関わらず、左室収縮機能が低下していれば、重症である

治療

基本的には、カテーテル治療か、外科的治療(外科的交連切開術あるいは弁置換術)が必要である。経皮的大動脈弁拡張術は外科的介入までの期間を延期できる可能性がある。人工弁置換術のあとは抗凝固療法が必要となる。
新生児期に重症心不全を呈する大動脈弁狭窄では左室が低形成で体心室として使用できない場合があり、Norwood手術からFontan手術が行われることがある。
感染性心内膜炎に罹患すれば予後不良のことがあり、予防は必要である

予後

新生児期に重症心不全を呈する大動脈弁狭窄の自然歴は不良であり、救命には速やかな治療方針の決定が必要である。軽・中等症でも加齢とともに狭窄が進行し治療適応となることが多いことが知られている。一般的に、最終的には、弁手術が必要となる可能性が高い、予後不良の疾患である

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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