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だいどうみゃくきゅうへいそくしょう (だいどうみゃくきゅうりだんふくごうをのぞく。)
大動脈弓閉塞症(大動脈弓離断複合を除く。)Aortic arch occlusive disease

小児慢性疾患分類

疾患群4
慢性心疾患
大分類57
大動脈弓閉塞症
細分類76
大動脈弓閉塞症(大動脈弓離断複合を除く。)

病気・治療解説

概要

大動脈弓の一部内腔が閉塞し索状物でつながるもの。心室中隔欠損などの心内奇形を合併しない。新生児期にはプロスタグランジンE1点滴が必要、また新生児期、乳児期早期に手術が必要である。

病因

左IV咽頭弓動脈の発生異常ないしは上行大動脈への血流減少が病因と考えられている。
大動脈弓の内腔が一部閉塞し索状物でつながっている。大動脈弓離断と同様の血行動態を呈する。従って、生存にはPDDT(pulmonary-ductus-descending aorta-trunk)の開存が必須である。

疫学

稀な疾患で有り、大動脈弓離断症よりも出現頻度は低い。

臨床症状

基本的には大動脈弓離断症と同様の症状を呈する。上肢には酸素化された血液が、また下肢には脱酸素化された静脈血が流れるために、下肢ではチアノーゼが出現する(differential cyanosis)。閉塞している部位の違いにより左上肢にもチアノーゼが出現する場合がある。
PDDTが狭いと新生児早期から多呼吸、陥没呼吸、哺乳困難、尿量低下などの心不全症状が出現する。また、閉塞している部位により四肢の脈の触知に差が出現する。一方、PDDTが比較的太い場合には心不全の症状も遅れ、乳児早期になり出現する場合もある。この様な症例では四肢の脈の触知に有意差がない場合もある。
PDDTが閉鎖すればショック状態となる。

診断

理学的所見が重要で、四肢に対する視診、触診が診断上有用である。必ず四肢の皮膚・爪床の色を観察し、脈を触知する。さらに、SpO2や血圧の測定を左右の上・下肢4カ所で行う。また、四肢のうちから高・低2カ所のSpO2をモニターし、血行動態の変動をチェックする。心聴診所見ではPDDTに伴う心雑音を聴取する場合がある。
心エコー・ドプラ検査、MD-CT(multi detector-row CT) 、MRIなどによる画像診断が有用である。心エコー・ドップラ検査では、特にカラードプラによる大動脈弓、PDDTなどの形態・機能診断が有用である。MD-CTによりほぼ大動脈弓閉塞の確定診断がつく。MRIも診断価値は高いが、MRI検査は深睡眠を必要とするので新生児期・乳児早期に施行する場合は十分な監視が必要である。新生児・乳児期では心臓カテーテル・心血管造影検査は省くことが多い。胸部X線、心電図も補助診断として有用である。胸部エックス線では心拡大(左IV弓の突出)、大動脈弓による左第1弓は認められない。心電図では多くの場合左室肥大を呈する。

治療

PDDTの開存療法が生命維持に必須であり、プロスタグランジンE1の持続静注を行う。根治術が必要であり、大動脈形成術を行う。

予後

近年、画像検査の進歩による早期診断と外科的手術成績の向上より、予後は比較的良好である。ただし、術後に大動脈弁・弁下狭窄が顕性化したり、大動脈弁逆流が出現することもある。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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