IgA腎症に対するファビハルタ、腎機能の低下を49.3%抑制することを示す臨床データを発表
瑞ノバルティス社は3月29日、IgA腎症を対象とした治療薬候補「ファビハルタ(一般名:イプタコパン塩酸塩水和物)」の第3相臨床試験であるAPPLAUSE-IgAN試験について、2年間の最終結果を発表しました。
IgA腎症(指定難病66)は、進行性の自己免疫性腎疾患であり、腎臓の小さな濾過装置の炎症や尿への過剰なたんぱく質の漏出を引き起こし、徐々に腎機能が低下する身体的負担の大きい病気です。持続的に尿タンパクが出る患者の最大50%が診断から10~20年以内に腎不全へと進行し、透析や腎移植といった長期的な管理が必要となる場合が多いです。
ファビハルタは、IgA腎症における炎症および腎損傷の主な促進因子の1つである、補体第二経路を選択的に標的とするようデザインされた経口の補体B因子阻害剤です。APPLAUSE-IgAN試験の事前規定された中間解析のデータに基づき、米国と中国において尿たんぱく減少に対する迅速承認を受けており、今回のデータに基づいて米国食品医薬品局の優先審査の指定を受けています。
今回の発表によると、ファビハルタは腎機能の主要な指標において低下を49.3%抑制するという統計学的に有意な効果を示し、腎不全への進行リスクを43%低減しました。また、ファビハルタの投与を受けた患者さんの40.7%が、2年間にわたって尿たんぱくの持続的な減少目標を達成しています。安全性に関しても、有害事象の発生率や投与中止率は低く、プラセボ群と同程度でした。
University of New South Walesの医学部教授兼学務責任者で、APPLAUSE-IgAN試験のSteering Committeeの共同議長であるVlado Perkovic, MD氏はプレスリリースにて、「持続的な腎臓の炎症はIgA腎症の顕著な特徴であり、疾患進行の主要な要因で、経時的な腎障害の進行および腎機能喪失につながります。これらの結果は、ファビハルタが疾患進行リスクを低減し、腎臓の健康を維持する一助となり、長期にわたる疾患負担に関連するアウトカムに対処できることを示すため、重要です」と述べています。
また、ノバルティスの循環器・腎臓・代謝デベロップメントユニットのグローバルヘッドであるRuchira Glaser, MD, MS氏は、「2年間の結果は、高リスクのIgA腎症患者さんにおいて、ファビハルタが腎機能の低下を一貫して臨床的に意義ある形で抑制することを示すものです。この進展は、長年にわたる集中的な研究の結果であり、IgA腎症とともに生きる患者さんたちの腎臓の健康を守ることを目指した、より標的を絞った治療選択肢の開発を推進する当社の取り組みを裏付けるものです」と述べています。
なお、同研究の成果は、「New England Journal of Medicine」に掲載されるとともに、2026年の世界腎臓学会議で発表されました。
