筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療に向けた新規核酸医薬品の特許を公開
東京慈恵会医科大学と株式会社Veritas In Silicoは1月19日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療に向けた新たな核酸医薬品に関する物質特許が公開されたと発表しました。この成果は、東京慈恵会医科大学とVeritas In Silicoの共同研究によるものです。
筋萎縮性側索硬化症(ALS、指定難病2)は、脳や脊髄にある運動ニューロンが障害を受けることで、手足やのど、舌、呼吸に必要な筋肉が徐々に動かなくなる病気です。進行が速く、発症から数年で死に至る症例が多いとされており、国内には約1万人の患者さんがいると推計されています。これまで多くの原因遺伝子が発見されていますが、ほとんどの症例で細胞内のタンパク質であるTDP-43の機能低下や異常が関与し、異常なRNAが出現することが報告されています。
今回、研究グループは、TDP-43の一種である「抑制性短縮型TDP-43」が、正常なTDP-43の機能を強く抑制し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの脳や脊髄でのみ見られる異常なRNAを誘導することを発見しました,。この知見に基づき、脳や脊髄における抑制性短縮型TDP-43を核酸医薬品によって減少させ、機能を正常化させることが新たな治療戦略になりうると考えられています。
Veritas In Silicoは、mRNA標的創薬プラットフォームを活用したAI創薬により、この抑制性短縮型に対応する核酸医薬品を設計および最適化しました。同社が特許の出願人となり、2種設計されたうちの1つについて審査手続きが進み、このたび特許公開に至りました。同研究は、疾患のメカニズム解明を目指す大学と、医薬品創出を目指すバイオテク企業の連携によって進められました。東京慈恵会医科大学はiPS細胞モデルなどを用いた解析や検証を担当し、Veritas In Silicoは医薬品候補物質のデザインや合成などを担当しています。
なお、基礎研究の成果は、国際学術誌「Journal of Cell Biology」に2025年10月に掲載されました。
