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パーキンソン病の進行抑制に「脳の底力」が寄与、京大グループが運動と薬物療法の重要性を解明

京都大学は1月5日、パーキンソン病において「適切なドパミン補充療法」と「日常的な運動習慣」が、病気に立ち向かうための「脳の底力(運動予備能)」を高め、長期的な重症化リスクを減少させることを明らかにしたと発表しました。

パーキンソン病(指定難病6)は脳内のドパミン神経が減少することで生じる病気ですが、ドパミン神経の減り方が同じであっても、実際に現れる運動症状の重さには大きな個人差があることが知られています。この個人差は、脳が持つネットワーク機能を駆使してダメージを補う力が働くためと考えられており、この適応能力は「運動予備能(Motor Reserve)」と呼ばれています。いわば、病気に立ち向かう際に発揮される「脳の底力」ともいえるものです。しかし、この能力が病気の進行とともにどう変化するのか、何が維持や強化に役立つのかは十分には解明されていませんでした。

今回、研究グループは、国際多施設共同観察研究であるPPMIのデータを用いて、脳画像検査で評価されるドパミン神経の機能低下と、実際の運動症状の重さとの乖離を指標として運動予備能を算出しました。その結果、パーキンソン病における運動予備能は固定されたものではなく、病気の経過や生活習慣に応じて大きく変動することが判明しました。特に、発症時点で日常的に運動習慣を持つ患者さんは初期から高い運動予備能を示すだけでなく、診断後に運動量を増やすことでさらにその能力が高まることが示されました。また、運動だけでなく適切なドパミン補充療法を行うことも維持・向上に寄与し、運動療法と薬物療法の両輪がこの能力を支える上で不可欠であることが確認されました。

さらに、発症早期の数年間にこの運動予備能を高く保つことができた患者さんは、その後10年以上経過しても、生活に介助を要するような重度の運動障害へと進行するリスクが有意に低いことも明らかになりました。

以上の研究成果より、発症初期からの運動習慣と適切なドパミン補充療法によって運動予備能を高く保つことが、長期的な病状の安定に大きく寄与することが示されました。このことは、運動療法と薬物療法が単なる症状緩和にとどまらず、脳のネットワーク機能そのものを支え、病気の進行を食い止めるための治療戦略となる可能性を示唆しており、今後のパーキンソン病の治療方針の構築に貢献すると期待されます。

画像はリリースより

なお、同研究の成果は、米国の国際学術誌「Neurology」オンライン版に2025年12月27日付で掲載されました。

出典
京都大学 プレスリリース

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