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免疫性血小板減少症(ITP)に対する治療薬rilzabrutinib、製造販売承認を申請

サノフィ株式会社は10月3日、持続性または慢性の免疫性血小板減少症(ITP)に対する治療薬として開発を進めてきたrilzabrutinib(リルザブルチニブ)について、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表しました。

免疫性血小板減少症(指定難病63、ITP)は、免疫応答や全身性の炎症が関わる複合的な免疫調節異常を伴う疾患です。血小板の破壊が亢進し、産生が低下することで、血小板数が100,000/µL未満になることを特徴としています。近年、免疫系の関与が明らかになり「免疫性血小板減少症(ITP)」と呼ばれるようになりましたが、それ以前は「特発性血小板減少性紫斑病」と呼ばれていました。日本では、この病気を患っている患者さんの総数は約2万人であり、毎年約3,000人が新たにこの病気にかかるとされています。免疫性血小板減少症(ITP)は、皮下出血から、脳内出血など生命を脅かす可能性がある出血まで、様々な部位の出血リスクを伴います。また、血小板減少に加えて、倦怠感、不安やうつ症状、認知機能の低下など、生活の質(QOL)に影響を及ぼす症状もみられます。

Rilzabrutinibは、B細胞、マクロファージ、自然免疫細胞などで発現し、様々な免疫介在性の病態形成や炎症経路において重要な役割を担うと考えられているBTKを標的とする経口阻害剤です。同剤は、サノフィの持つ独自の技術を応用することで、標的とすべきBTKを選択的に阻害します。免疫性血小板減少症(ITP)治療領域においてこの作用機序を持つ薬剤の申請は日本で初めてとなります。これにより、これまでの治療選択肢とは異なるアプローチで、免疫性血小板減少症(ITP)治療に新たな選択肢をもたらすことが期待されています。

今回の申請は、日本人を含む成人免疫性血小板減少症(ITP)患者さんを対象とした国際共同第III相試験(LUNA3試験)の結果に基づいたものです。主要評価項目である持続的な血小板反応が得られた患者さんの割合は、rilzabrutinib群が23.3%、プラセボ群が0%であり、有意な差が認められました。また、リツキシマブやトロンボポエチン受容体作動薬などの前治療歴がある免疫性血小板減少症(ITP)患者さんのサブグループにおいても、持続的な血小板反応が得られた患者さんの割合で有意差が認められています。盲検投与期間の最初の12週間において、rilzabrutinib群では85例(63.9%)で血小板反応が得られたのに対し、プラセボ群では22例(31.9%)でした。さらに、倦怠感やQOLの評価、出血の減少、レスキュー治療を必要とする患者割合などの主要な副次評価項目も達成しています。rilzabrutinib群における最も一般的な副作用(発生率が10%以上)は、下痢、吐き気、頭痛、腹痛、COVID-19でした。

なお、rilzabrutinibは、免疫性血小板減少症(ITP)の適応に対して2022年12月に厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査の対象となっています。米国では、rilzabrutinibは免疫性血小板減少症(ITP)の適応で2025年8月に承認されています。

出典
サノフィ株式会社

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