痛みと向き合いながら前に進む|Yさん(45歳):線維筋痛症(FMS)・筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)
線維筋痛症(FMS)や筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、強い痛みや慢性的な疲労に苦しむ難治性の病気です。外見では分かりにくいため、理解を得にくいことも多いですが、その中で生活を工夫し、仕事や社会とのつながりを大切にしながら生きる人々がいます。今回は、2019年に診断を受けたYさん(45歳)にお話を伺いました。

これまでの経緯
- 2013年 めまい、動悸、筋肉痛、インフルエンザのような症状を発症
- 2019年 大学病院で受診し、線維筋痛症(FMS)と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と診断
病気の詳細
線維筋痛症(FMS)は、全身の広範囲な痛みや強い疲労感が続く病気で、しばしば「見えない痛み」と表現されます。
筋肉や関節がこわばったり、生きてるだけで痛みを感じることが特徴です。
原因は完全には解明されていませんが、脳や神経の痛みを感じる仕組みに異常があると考えられています。
一方、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、強い全身の疲労や集中力の低下、免疫系の異常などを伴う病気で、日常生活に大きな制約をもたらします。
とくに、「少しの活動でも強い疲労が出る」という特徴があり、健常者のように休めば回復するという単純な疲れではありません。
この二つの病気は、外見からは分かりにくいため、「怠けている」「気の持ちようだ」と誤解されやすいのですが、実際には患者である私の生活を大きく左右する深刻な病気です。
発症から診断まで
最初におかしいなと思ったのは高校生のころでした。
疲れがまったく取れなかったり、マラソンを完走できなかったり。
でも若かったので深刻には考えませんでした。
その後も体調不良が続き、2013年ごろにはめまいや動悸、筋肉痛、インフルエンザのような症状に悩まされるようになりました。
しかし、病名が分からないまま過ごし、最初に受診した医療機関では「うつ病」と診断されました。
ペインクリニックにも通いましたが、看護師と医師から「あなたは精神病だ」と心ない言葉をかけられて、本当に悔しかったです。
その後、市内の心療内科から大学病院を紹介され、総合科で専門の先生に診てもらうことができ、ようやく線維筋痛症と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群という診断を受けました。
病名が分かったときは、やっと確定診断がついたと安心しました。
ただ、麻酔科で星状神経節ブロックを受けた際は副作用の説明がなかったにも関わらず、後日副作用が発覚。
説明を受けていないことを問いただすと医師から、「気持ちを変えていこう」と言われ、憤りを感じました。
病気での生活の具体例
現在もっとも辛い症状は「身体の痛み」です。
痛み止めを処方されていますが、完全に取れるわけではありません。
夏は身体が燃えるように熱く、冬は寒さで指先の感覚がなくなります。
触られるだけで痛いこともあるし、関節がこわばってペットボトルが開けられなかったり、包丁を握れなかったりすることもあります。
日常生活では、自助具や便利グッズを工夫して使っています。
ペットボトルオープナーや車いすにポケットやフックを増設したり、座面に合うグッズを使って少しでも快適に過ごせるようにしています。
同じ姿勢を続けると痛みが強くなるので、できるだけ体勢を変えながら生活しています。
仕事の様子
私は現在、在宅で働いています。
7月から在宅ワークを始めました。
長時間働いたら次は短時間にするなど、身体と相談しながらメリハリをつけています。
続けていきたいからこそ、自分のペースを大事にしています。
また、社会とのつながりを持ち続ける工夫も欠かせません。
息子の友達にいつ会ってもいいように、身ぎれいにしておくようにしています。
外に出られる機会は少なくても、人と関わるときの自分らしさは大事にしたいんです。
心の支えとやりがい
病気と向き合う中で心の葛藤はありますが、私は前向きに楽しみを見つけています。
日常では髪色を変えたり、メイクやファッションを楽しんで気分を切り替えています。
生活の中でやりがいを感じる瞬間もあります。
通院や仕事を援助なく一人でやり切れたときは、本当にやりがいを感じます。
就職活動もやってよかったです。
就労移行支援を使うことで、いろんな支援の仕組みを知れましたし、いろんなご縁があって今の仕事につながっています。
周囲の支えも大きな力になっています。
ありがたいことに、周りの人たちは病気のことを調べて理解しようとしてくれます。
家族も協力的で、とくに父が病気について勉強してくれたおかげで診断にたどり着けました。
通院も支えてくれて、本当に感謝しています。
今後の目標
今はパートやアルバイトですが、将来的には正社員になってみたいです。
生活をもっと豊かにしていきたいですね。
社会に対して望むことは、見た目で判断しないでほしいです。
そして、車いす専用トイレは本当に必要な人が優先して使えるようにしてほしいです。
もっと分かりやすく、ファッション性もあるようなヘルプマークがあればいいと思います。
歩道の段差も、高齢者や私のように歩きにくい人にとって改善されれば助かります。
最後に
私は、線維筋痛症(FMS)と筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という難しい病気を抱えながらも、生活の工夫や周囲の支えを得て、自分らしい生き方を大切にしています。
病気の辛さを抱えながらも「正社員になりたい」という前向きな目標を持って、多くの人に勇気を与えたいです。
「見えない障害」に対する理解が進み、誰もが安心して暮らせる社会になることを願います。