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トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬ビヨントラが発売

アレクシオンファーマ合同会社は5月21日、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬として、ビヨントラ錠400mg(一般名:アコラミジス塩酸塩、以下ビヨントラ)の日本での販売を開始したと発表しました。

トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)というタンパク質が解離し、誤って折りたたまれた(ミスフォールドした)ものがアミロイド線維として凝集して心臓に沈着することによって引き起こされる、全身性の進行性アミロイドーシスです。これらのアミロイド線維が心臓に蓄積すると、心臓が血液を送り出しづらい心筋の状態である心筋症を引き起こし、さらに心不全を招く可能性があります。

この疾患は、疲労感、呼吸困難、虚弱、意識消失、下肢や足首の腫れ、不規則な拍動(不整脈)、手根管症候群、脊柱管狭窄症のように多岐にわたる徴候や症状を引き起こす可能性があり、他の疾患に似た漠然とした症状が多いため、診断が複雑になることが多いとされています。世界におけるトランスサイレチン型心アミロイドーシスの患者数は30万人から50万人と推定されていますが、これらの患者さんの多くは診断には至っていません。

ビヨントラは経口投与薬であり、90%超の安定化作用を有するトランスサイレチン(TTR)四量体安定化剤です。トランスサイレチン型心アミロイドーシスの根本原因である、生体内でのTTR四量体の不安定化を標的とし、自然に発生するレスキュー変異である「TTR遺伝子(T119M)」を模倣するよう設計されています。

今回の承認は、ATTRibute-CM国際共同第III相試験(NCT03860935)の肯定的な結果、および日本国内における第III相非盲検試験の肯定的な結果に基づいたものです。この国内第III相非盲検試験の結果は、ATTRibute-CM国際共同第III相試験の結果と一致しており、試験開始30ヵ月目までに報告された死亡はなく、患者1人・1年あたりの心血管関連入院の発生頻度は0.13と、ATTRibute-CM国際共同試験のプラセボ群(0.45)と比較して低い値を示しています。

出典
アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース

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