1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. ウパダシチニブ、巨細胞性動脈炎(GCA)治療薬として欧州医薬品委員会より肯定的見解を取得

ウパダシチニブ、巨細胞性動脈炎(GCA)治療薬として欧州医薬品委員会より肯定的見解を取得

米アッヴィ合同会社は2月28日、ウパダシチニブ(15mg、1日1回投与)について、巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんに対する治療薬としての承認を推奨する肯定的見解を、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)から得たと発表しました。

巨細胞性動脈炎(指定難病41、GCA)は、主に高齢者に発症する血管炎の一種です。特に頭部の動脈がつまって、頭痛、発熱、視力障害、顎の痛みなどの症状が現れることがあります。重症化すると失明などの後遺症を残す可能性もあるため、早期の診断と治療が重要となります。治療には、主にステロイド薬が用いられます。

ウパダシチニブは、国内においては既存治療で効果不十分な関節リウマチ、乾癬性関節炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、中等症から重症の潰瘍性大腸炎ならびにクローン病の患者さんの治療薬として承認されています。しかし、今回の発表にある巨細胞性動脈炎の適応症は、現時点では国内で承認されていません。承認された場合、ウパダシチニブは巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんに対する初めてかつ唯一の先進的な経口薬となる見込みです。

今回のCHMPによる肯定的見解は、50歳以上の巨細胞性動脈炎(GCA)患者さんを対象にウパダシチニブの有効性と安全性を評価した第III相ピボタル試験「SELECT-GCA試験」のデータに基づいたものです。この試験の第1ピリオドでは、患者はウパダシチニブ7.5mgまたは15mgと26週間のコルチコステロイド漸減投与の併用、もしくはプラセボと52週間のコルチコステロイド漸減投与の併用のいずれかに無作為に割り付けられました。52週間のプラセボ対照比較期間中、ウパダシチニブの安全性プロファイルは、承認されている他の適応症で認められているものと概ね一致していました。

SELECT-GCA試験の治験責任医師であるヴォルフガング・シュミット氏はプレスリリースにて、「巨細胞性動脈炎は、未治療のままであれば、失明や脳卒中、大動脈瘤などの深刻な転帰をもたらす可能性のある炎症性疾患です。今回の肯定的見解は、成人の巨細胞性動脈炎患者さんにおけるアンメット・メディカルニーズへの理解を示すものであり、欧州医薬品委員会の最終決定を心待ちにしています」と述べています。

また、アッヴィ社のバイスプレジデント兼グローバルヘッド・オブ・イムノロジー・クリニカル・デベロップメントであるコリ・ウォレス氏は、「成人の巨細胞性動脈炎患者さんに対するウパダシチニブへのCHMPの肯定的見解は、この疾患に苦しむ患者さんにより良い転帰をもたらすという私たちの目標達成に向けた重要な一歩です。私たちは、これからも免疫介在性疾患の標準治療の向上と患者さんのアンメット・メディカルニーズへの対応に取り組んでまいります」と述べています。

出典
アッヴィ合同会社 プレスリリース

関連記事