【欧州】パーキンソン病治療薬候補品ND0612、販売承認申請をEMAが受理
田辺三菱製薬株式会社は2月21日、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病治療薬候補品として開発中のND0612について、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)から販売承認申請を受理した旨の通知を現地時間2月20日に受領したと発表しました。
パーキンソン病(指定難病6)は、脳の異常により、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を特徴とする進行性の慢性神経疾患です。現在は、発症原因と考えられているドパミン不足を、レボドパとレボドパ分解阻害剤(通常、カルビドパ)を組み合わせた経口剤で補う治療法が一般的です。
しかし、経口剤ではレボドパの血中濃度が変動するため、薬が効きすぎて生じる不随意運動(ジスキネジア)や薬の効き目が切れるウェアリング・オフなど、運動症状の日内変動の一因となります。症状が進行すると、運動症状の日内変動が増加し、経口剤では症状のコントロールが難しくなるため、外科手術が治療法の選択肢になっているという課題があります。
ND0612は、レボドパとカルビドパ(LD/CD)を液剤化し、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病患者さんに注入ポンプを用いて24時間持続皮下投与する治療薬です。24時間持続皮下投与することで、レボドパの血中濃度を持続的に安定させ、薬物動態プロファイルを改善することで、ジスキネジアを伴わないON時間の延長と、OFF時間の短縮が期待されます。今回の欧州申請のほか、米国でも再申請に向けた手続きを進めています。
今回の承認申請は、LD/CDの経口即放剤と比較したグローバル第3相臨床試験(BouNDless試験)で得られた有効性、安全性および忍容性の評価データと、後期第2相臨床試験(BeyoND試験、継続中)で得られた1年を超える長期安全性と忍容性の評価データを中心に実施されました。
田辺三菱製薬はプレスリリースにて、「研究開発の重点領域の一つに定める中枢神経領域において、神経変性疾患に向きあうすべての人に、新しい治療の選択肢を届けるための取り組みを進めていきます」と述べています。