クローン病治療薬オンボー、2年間投与を受けた患者さんの大半が持続的な臨床的寛解と内視鏡的改善を維持
米イーライリリー・アンド・カンパニー社は2月7日、VIVID-2非盲延長試験の結果を発表し、中等症から重症の活動期クローン病の治療のためにオンボー(ミリキズマブ)の投与を2年間受けた患者さん(うち43.8%は生物学的製剤が効果不十分であった患者さん)の大多数で、長期にわたり臨床的および内視鏡的アウトカムの達成が認められたと発表しました。
クローン病(指定難病96)は、小腸や大腸を中心に慢性の炎症が起きることにより、びらん(粘膜がただれている状態)や潰瘍(粘膜がえぐられている状態)ができる炎症腸疾患です。
オンボーは、腸管の炎症に大きく関与する特定のタンパク質であるインターロイキン-23p19(IL-23p19)を標的とすることで、消化管内の炎症を軽減する薬剤です。クローン病と潰瘍性大腸炎(指定難病97)のいずれにおいても複数年にわたる長期的な安全性と有効性を立証した最初のIL-23p19拮抗薬です。
第ⅲD-1試験でオンボー群に割りつけられ、1年時点で内視鏡的改善を達成した患者さんが、VIVID-2試験に参加しオンボーによる維持療法を受けました。VIVID-1試験における1年間を含め合計2年間の継続投与を受けた患者さんを対象としたobserved case解析では、1年時点で臨床的寛解を達成した患者さんのうち90%以上が、2年時点の臨床的寛解を維持しました。また、1年時点で内視鏡的改善がみられたオンボーの投与継続患者さんの90%近くが、2年時点の内視鏡的改善を維持しました。
VIVID-2試験に参加した中等症から重症の活動期クローン病患者さんにおけるオンボーの長期安全性プロファイルは、既知のオンボーの安全性プロファイルと概ね一致していました。オンボーの継続投与の1年時点で内視鏡的改善がみられた患者さんのうち、投与2年目に重篤な有害事象が現れた患者さんの割合は6.8%、有害事象のため投与を中止した患者さんの割合は0.8%でした。
リリー社の自己免疫疾患 開発部門のシニアバイスプレジデントであるMark Genovese医師はプレスリリースにて、「炎症性腸疾患によって多大な影響を受けている患者さんのために、効果持続の判定基準を高く設定しています。これらの結果は、オンボーが臨床的、内視鏡的、組織学的に良好な結果をもたらし、早期に意義のある改善と長期的な疾病コントロールが可能であることを示すエビデンスとなりました」と述べています。
オンボーは、今回の試験以外にもクローン病と潰瘍性大腸炎に対する試験を実施中で、小児患者さんと成人患者さんにおけるオンボーの長期的な有効性・安全性を評価する試験や、実臨床の潰瘍性大腸炎患者さんにおけるオンボーの影響を評価する第Ⅳ相リアルワールドエビデンス試験などが行われています。
なお、今回の試験データは、米サンフランシスコで2025年2月6~8日に開催されたCrohn’s and Colitis Congress(CCC、クローン病・大腸炎会議)にて発表されました。