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網膜色素変性症を対象とした視覚再生治療製剤RV-001の企業治験で1 例目の患者さんへの投与が完了

慶應義塾大学は2月13日、名古屋工業大学との共同研究に基づき株式会社レストアビジョンによって開発された視覚再生治療製剤「RV-001」の企業治験において、1 例目の患者さんへの投与が 2025年2月6日、慶應義塾大学病院にて実施したと発表しました。

網膜色素変性症(指定難病90)などの遺伝性網膜疾患は、失明の主要原因であり、有効な治療法が確立されていません。世界には約200万人以上の患者さんがいると言われており、近年さまざまな技術を応用した治療法の開発が進められています。そのひとつである光遺伝学(オプトジェネティクス)は、光感受性タンパク質を用いて神経細胞を制御する技術で、遺伝性網膜疾患患者さんの残存する網膜神経細胞に光感受性を持たせることで視覚機能の再生を目指します。従来の光感受性タンパク質を活性化させるには非常に強い光が必要で、実用化には課題がありました。

今回の治験は、重症網膜色素変性症の患者さんを対象に、治験製剤RV-001の安全性および探索的有効性を評価する第 I/II 相試験です。同治験では、組み入れ基準を満たし、同意が得られた成人患者さん 6~15 名を対象に、手術を必要としない低侵襲な眼内注射により製剤を投与し、約半年間にわたる経過観察を行います。

慶應義塾大学は今回の治験について、プレスリリースにて「本治験は、日本初の光遺伝学技術を応用した治療法であり、さらに「キメラロドプシン」を利用した治療としては世界初となります。そのため、本治験では重症網膜色素変性症という非常に限られた患者さんを対象とすることと、医療チームによる管理を徹底することによって、患者さんの安全を最優先に製剤の安全性を評価します。併せて製剤の有効性も探索的に評価します。本治験が計画通りに完了すれば、失明に対する新たな治療選択肢を提供する重要な一歩となり得ます」と述べています。

出典
慶應義塾大学 プレスリリース

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