1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する遺伝子治療用製品delandistrogene moxeparvovec、製造販売承認を申請

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する遺伝子治療用製品delandistrogene moxeparvovec、製造販売承認を申請

中外製薬株式会社は8月14日、開発中の遺伝子治療用製品delandistrogene moxeparvovec(開発コード:SRP-9001、海外製品名:Elevidys)について、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD:Duchenne muscular dystrophy)に対する製造販売承認申請を、厚生労働省に行ったと発表しました。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、幼児期に発症し、筋力の低下を特徴とする遺伝性の筋疾患です。世界では、男児の約5,000人に1人程度で発症するといわれており、女児では非常に稀です。徐々に、歩行能力、上肢機能、肺機能、心機能が失われ、介護が必要となり、学業や仕事や家庭生活を行うことが困難となります。

delandistrogene moxeparvovecは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象に開発中の遺伝子治療用製品。標的とする骨格筋、呼吸筋及び心筋において、同本剤により短縮型ジストロフィンの発現を介し、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の原因に働きかけるようデザインされています。delandistrogene moxeparvovecは、厚生労働省より希少疾病用再生医療等製品の指定を受けており、優先審査の対象となります。

今回の承認申請は、歩行可能なデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)4歳~7歳の男児を対象としたdelandistrogene moxeparvovecの有効性および安全性を評価したグローバル第III相臨床試験であるEMBARK試験の成績等に基づいています。EMBARK試験の結果、主要評価項目である運動機能を評価するノース・スター歩行能力評価(NSAA)はプラセボと比較し、統計学的な有意差は認められませんでしたが、副次的評価項目(床から立ち上がるまでの時間、10メートルの歩行時間、Stride Velocity 95th Centile[SV95C]、4段上るまでの時間)において、臨床的に意義のある改善が認められました。また、本試験において新たな安全性のシグナルは認められませんでした。

中外製薬はプレスリリースにて、「これまでに実施した本品のすべての臨床試験成績、及びDMD自然歴経過との比較結果に基づき、本治療薬のベネフィット・リスクのバランスが良好であると考えたことから本承認申請にいたりました。本品の承認に向け、規制当局と協議を継続してまいります」と述べています。

また、同社代表取締役社長CEOの奥田修氏は、「DMDは幼少期に発症し、学童期に症状が急速に進行していく生命予後の悪い難治性の筋疾患です。筋力低下により自立した生活や質も著しく低下する一方、根本治療はありません。delandistrogene moxeparvovecは1回の投与でDMDの原因となるジストロフィンの発現を補うよう設計されており、日本で本疾患初の遺伝子治療用製品となる可能性があります。DMDの新たな治療として患者さんに一日でも早くお届けできるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。

なお、同剤は、米国において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する初の遺伝子治療用製品として、2023年6月に承認されています。また、欧州でも2024年5月に承認を申請しています。

出典
中外製薬株式会社 プレスリリース

関連記事