【欧州】先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬ADZYNMAを欧州委員会の承認を取得
武田薬品工業株式会社は8月8日、欧州委員会(EC)が、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児および成人患者さんのADAMTS13欠乏症の治療薬として、ADZYNMA(遺伝子組換えADAMTS13)を承認したと発表しました。
先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)は、ADAMTS13酵素の欠乏によって生じる超希少かつ慢性の血液凝固障害です。急性イベントや消耗性の慢性症状からなる血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の症状が伴いますが、これらには血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、腎症状、脳卒中、腹痛などが含まれます。未治療のまま経過すると、急性イベントの死亡率は90%を超えます。
今回の欧州委員会(EC)による承認は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)を対象とした初の無作為化、比較対照、非盲検、クロスオーバー第3相試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データの中間解析を含む包括的エビデンスおよび継続試験の安全性および有効性データに基づくものです。
第3相試験では、登録時のレジメンに基づき、登録後Month1からMonth6(第1期)まで隔週または週1回ADZYNMA40IU/kgの静脈内投与または血漿製剤投与を行い、Month7からMonth12(第2期)まで治療薬を切り替えて、Month13からMonth18(第3期)まではすべての患者さんにADZYNMAを投与しました。
ADZYNMAの定期補充療法中に急性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)イベントを発現した患者さんはいませんでしたが(n=45)、血漿製剤投与患者さんに急性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)イベントが1例認められました(n=46)。対照比較第1期および第2期では、ADZYNMA投与患者さんで亜急性TTPイベントが1例報告されたのに対し、血漿製剤投与患者さん6例で亜急性TTPイベントが7件報告されました。継続期間(第3期)における有効性の結果(急性および亜急性TTPイベントの発現率)は、第1期および第2期の結果と一致していました。
ADZYNMAは、血漿製剤と比較して良好な安全性プロファイルを示しました。発現率10%超の主な有害事象は、頭痛、下痢、浮動性めまい、上気道感染、悪心及び片頭痛でした。
武田薬品の欧州・カナダビジネスユニットのプレジデントであるリカルド・マレック氏はプレスリリースにて、「cTTPの科学的発見から一世紀が経過しても、生命を脅かす急性イベントおよび消耗性の慢性症状に直面し続け、治療選択肢が限られているcTTP患者さんには、依然として重大なアンメットニーズが存在しています。このたびの承認は、ADAMTS13欠乏という疾患の根本原因に対処することを効能効果とした初めての治療薬となります。希少血液疾患における70年にわたるイノベーションの歴史を基盤に、EUでcTTP患者さんにADZYNMAを提供できることを誇りに思い、アンメットニーズの高い希少疾患患者さんに革新的な医薬品をお届けすることに引き続き取り組んでいきます」と述べています。
なお、本試験のデータは、「The New England Journal of Medicine」誌に5月付で掲載されました。