【台湾】視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する治療薬エンスプリングが発売
中外製薬株式会社は10月2日、子会社である台湾中外製薬股份有限公司が、エンスプリングについて、「成人および12歳以上の青年期の抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」を効能・効果に台湾で最初に承認された治療薬として、10月1日に発売したと発表しました。
視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患です。主な症状として、視力障害、手足に力が入らない・痺れる、生活の質の低下を伴う疼痛などがありますが、人によって炎症が起こる部位が異なるため、症状もさまざまです。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の70~80%の患者さんでは、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています。
エンスプリングは、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、中外製薬が独自のリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤です。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の主な原因であるサイトカインのIL-6のシグナルを阻害することで、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発抑制が期待できます。エンスプリングは、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に対し、日米欧を含む85カ国以上で承認されています。
今回の発売は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の再発リスクを有意に減少した第III相国際共同治験SAkuraSky試験(NCT02028884)およびSAkuraStar試験(NCT02073279)の成績に基づいています。
なお、エンスプリングは2022年9月14日に衛生福利部(MoHW)により希少疾病用医薬品に指定され、2023年7月28日に台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)より希少疾病用医薬品の承認を受けています。